サミットをラジオで分析する

事務所で作業しながらインターネットでラジオ放送を聞くことがあります。いまもブログを書きながらラジオ番組を聞いています。たとえば、BBC放送(英語)、イラン国営放送(日本語)、韓国のKBS(日本語)等のインターネットのラジオ番組を聞いていて思うのは、世界では主要7か国首脳会談(G7サミット)はあまり注目されていないということです。

たまたま聞いたBBCニュースやイラン国営放送ニュースでは、米大統領選のトランプ候補の発言、イラクのファルージャの戦闘、国連の世界人道サミットの方が、より大きな扱いでした。イラク国営放送は、G7サミットに参加している先進国首脳が世界人道サミットを欠席している点を批判していましたが、それ以上の言及はありません。国によってG7サミットへの評価はだいぶ異なります。

安倍総理はG7を自己PRの機会にしようとがんばっています。安倍総理はG7の場で消費税増税延期のお墨付きを得ようと工夫をしていますが、あまり成功しているとは言えない様子です。安倍総理は、G7のホストとして目立ち、支持率アップを図るつもりだったのでしょう。しかし、思ったよりも他の首脳の反応が悪く、ガッカリしていることでしょう。

G7が始まったころは、世界経済に占めるG7の割合は圧倒的でした。当時の経済大国といえば、第1位のアメリカ、第2の日本、第3の西ドイツでした。イギリスやフランスも含め西側先進国の存在感は大きかったです。いまでもアメリカ、日本、ドイツの存在感は大きいですが、G7設立当時の存在感に比べればやはり印象が弱くなりました。世界第2の経済大国の中国をはじめ、インドやロシア、ブラジル、インドネシア等の大国が抜けているため、世界の経済政策を決める場としてはG20よりインパクトが弱くなりました。一時期はG7不要論さえ出ていました。しかし、日本のメディアは、「G7サミットがいかにも重大事」という報道をして、安倍総理にPRの機会を進んで提供しています。

G7がまったく無意味とは言いません。主要な民主主義国家が集まって議論する場という点では、それなりに意義があります。しかし、昔と比べてG7の相対的重要性が低下している事実は否定できないと思います。

また、主要な民主主義国家のサミットというなら、以前にフォーリン・アフェアーズ・レポートの論文で提案されていた「D10」も考慮に値します。価値観を共有する主要な民主主義国家から成るフォーラムとして、G7に加えてオーストラリア、韓国、EUで「D10」を創設するという提案でしたが、それも悪くないアイデアだと思います。

日本もG7サミットの重要性の低下を認識した上で、お祭り騒ぎにムダに税金を投じるのをやめて簡素なサミットを目指した方がよいと思います。国際社会ではさほど注目されていないG7を国内政治に利用するのもやめた方がよいと思います。