コロナで忘れられた「政治とカネ」問題

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この一年ほどの間ずっと新型コロナウイルスに注目が集まりました。メディア報道はコロナと東京オリンピック・パラリンピックに集中しています。そんな中で忘れられたテーマが「政治とカネ」の問題ではないでしょうか。前回総選挙(2017年10月)以降で「政治とカネ」の問題で逮捕されたり、議員辞職したりした自民党の衆議院議員は次の4人です。

【2017年総選挙以降の自民党議員の「政治とカネ」問題】

  1. 吉川貴盛衆議院議員(元農林大臣):収賄で在宅起訴。2020年12月議員辞職。
  2. 河井克行衆議院議員(前法務大臣):買収で逮捕。2021年4月議員辞職。
  3. 菅原一秀衆議院議員(前経産大臣):有権者に現金提供。2021年6月議員辞職。
  4. 秋元司衆議院議員(元国交副大臣):カジノ汚職(中国企業から収賄)で逮捕。

衆議院の議員定数は465人ですが、2017年総選挙で自民党は284人が当選しました。そのうち3人が「政治とカネ」の問題で議員辞職し、その他に5人が不祥事で自民党を離党しています。議員辞職した3人は、法務大臣、農水大臣、経産大臣の経験者でした。コロナにメディアの注目が集中した結果として「政治とカネ」の問題はあまり報道されませんでした。

吉川元農相が昨年12月末に議員辞職し、河井前法相は今年4月、菅原前経産相は今年6月に議員辞職しました。菅政権発足後の一年足らずの間に3人も元大臣が議員辞職しており、コロナ禍でなければ、内閣が倒れても不思議ではないレベルの政治腐敗です。

安倍一強政治のもとで権力の集中が進み、安倍総理や菅官房長官の周辺の政治家の間で驕りとゆるみが生じたのだと思います。「権力は腐敗する。絶対的権力は絶対的に腐敗する。」という英国の格言があります。これらの汚職は安倍長期政権のもとで権力の腐敗が進んだことの証左です。

このような状況にも関わらず、自民党の二階俊博幹事長は6月1日記者会見で「政治とカネ」の問題をめぐり、「ずいぶんきれいになってきている。国民も評価してしかるべきだ」との驚くべき発言をしました。どこがどのように「ずいぶんきれいになってきている」のか謎ですが、二階幹事長がまったく反省していないことがよくわかりました。

また自民党は、当選無効になった国会議員の歳費返還を可能にする法改正についても通常国会での成立を見送りました。2019年参院選広島選挙区の買収事件で当選無効となった河井案里氏も議員歳費をそのまま受領していますが、それを納得している国民はほとんどいないでしょう。

連立政権を組むパートナーの公明党でさえ、自民党に対して「自浄努力が足りない」と批判したと報道されています。「政治とカネ」の問題に関しては自民党の自浄能力に期待できないことが、野党のみならず、公明党からも指摘される異常な状況です。

世の中には「カネに汚くても結果を出す政治家ならよい」という考えの人もいるかもしれません。しかし、この4人の政治家を見ると「政策通」とは言えないし、「結果を出す」という感じもしません。私も衆議院議員4期目で約13年国会で仕事をしてきたので、議員歴の長い衆議院議員なら、どんな政治家なのかある程度は見当がつきます。お金に汚いので有名な議員、権力者におもねるので有名な議員、そういう議員が、やはり「政治とカネ」で疑惑を持たれています。汚職のニュースを聞いても「ああ、やっぱり」という議員ばかりです。

こういう悪い噂のある議員を経産大臣や法務大臣といった有力閣僚に指名しているところが、自民党のゆるみと驕りを象徴しています。政治に緊張感を取り戻し、立法府の行政監視能力を高めるため、国会の勢力図にバランスを取り戻さなくてはなりません。

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