風力発電はやっぱり有効

先日のブログ「ドローダウン:地球温暖化を逆転させる100の方法」の続きです。地球温暖化対策として有効性の第1位は意外にも「冷媒」でしたが、第2位は「陸上風力発電」でした。

さらに「洋上風力発電」が第22位なので、陸上風力発電と洋上風力発電をあわせた風力発電の有効性は「冷媒」を上回ります。やはり風力発電は重要だということが再認識できました。

数年前のデータですが、スペインでは1000万世帯に風力発電で電気が供給され、デンマークは電力需要の40%以上を風力発電でまかなっています。

風力発電のコスト削減が続いており、10年以内にもっとも安価なエネルギー源になると予測されています。現在もっとも安い電力源は石炭火力発電所ですが、近い将来に風力発電の方が安くなる見込みです。

コスト的には洋上風力発電より陸上風力発電の方が安く、陸上風力発電の方が地球温暖化対策の観点では有望です。風力発電所は設置面積が小さく、設置する土地の約1%しか使いません。同じ土地で風力発電と放牧や農業の両立も可能です。

風力発電も良いことばかりではなく、環境を破壊する風力発電もあるので注意が必要です。低周波騒音などの健康被害を訴える人もいるので、設置場所の選定には注意が必要です。景観への配慮も欠かせません。

また渡り鳥やコウモリが発電機のブレードに巻き込まれて死んでしまうこともあり、日本野鳥の会などは風力発電の環境影響評価の厳格化をもとめています。なお、最新の設計ならば低速回転のブレードや渡り鳥の移動経路を避けた設置も可能だそうです。

おそらく陸上風力発電は砂漠や大草原が広がる中国や米国では、最も有望な自然エネルギーだと思います。日本にも適地はあるので、人や鳥に配慮しつつ、可能な場所では陸上風力発電を拡充していく必要があります。

洋上風力発電は日本でも有望です。これだけ海に囲まれているので、ポテンシャルは大きいはずです。地産地消の自然エネルギー、地域分散型の風力発電は、地域経済振興の観点からも重要です。

たとえば、離島はどうしてもガソリン代が高くなります。輸送や保管のコストを考えると仕方ない面もあります。離島の住民の平均所得は高くないので、ガソリン代の負担は重たいはずです。

そこで電気自動車と洋上風力発電による地産地消の電気を組み合わせれば、離島の人たちの暮らしが少し楽になるかもしれません。離島の場合、それほど長距離走行しないので、電気自動車向きです。

離島の人向けに電気自動車の補助金を拡充し、洋上風力発電で電気料金を下げることができれば、離島の住民の生活向上と地球温暖化防止を両立できます。

*参考文献:ポール・ホーケン編著 2021年「ドローダウン:地球温暖化を逆転させる100の方法」山と渓谷社