男性と女性の能力差と大学進学率

外国語学習の本を読んでいて、男女の言語能力の差に関し、「なるほど」と思う記述に出会いました。

「女性のほうが男性よりも外国語学習に向いている」というのはある程度言えるのかもしれません。(中略)外国語ではなく母語の言語能力という点に関して言えば、女性のほうが男性よりもおおむねすぐれている、ということは言われています。たとえば、幼児のことばの発達も、概して女の子のほうが早いこともわかっていますし、大人の言語使用でも女性のほうが複雑な文を早く、間違いなく話すという研究もあります。女性のほうが単語の記憶や、数字の記憶も優れています。 *白井恭弘 2008年 『外国語学習の科学』 岩波新書

女性の方が母語でも外国語でも言語の運用能力が優れています。数字の記憶力も優れています。言語の運用能力は、思考力とほぼイコールと言えるでしょう。ひらたく言えば「女性の方が男性より頭がいい」と言っているのも同然だと思います。思いあたる節はあります。

たとえば、高等教育(=大学教育)の在学率のデータを見ると、先進国では日本と韓国を除けば、ほとんどの国で女性の方が在学率は高いです。大学在学率は、男性の5割、女性の6割といった先進国が多いです。女性の方が大学教育を受ける傾向が強いため、女性の方が知識社会における競争力が強いということです。先進国全般に女性の社会進出はますます増えることでしょう。

日本でもかつては「女の子は大学に行かなくてもいい」といった考え方がありましたが、いまや男女の大学進学率の差はなくなりつつあります。他の先進国のトレンドに従えば、日本でも女性の大学進学率が男性の大学進学率を上回る日は近いでしょう。

私の母校の筑紫丘高校では、私の在学時(25年前)は男性2:女性1くらいの比率で、男子学生が圧倒的に多かった記憶があります。しかし、いまは男女比が半々になっているそうです。ちなみに現在の筑紫丘高校の校長先生は女性で、蛇足ながら私が高校時代に英語を習った先生です。

農耕や牧畜、遊牧の時代は、筋力でまさる男性が優位でした。あるいは軍事が重視される社会でも男性が優位でした。20世紀型の工場労働においても、筋力でまさる男性が優位でした。英語で「manpower」というくらいですから、「労働力」イコール「男性の力」だったのかもしれません(?)。しかし、知識社会(知識経済社会)においては、筋力よりも、頭脳やホスピタリティが重要です。知識社会においては、男性の優位はありません。言語の運用能力や記憶力でまさる女性の方が、知識社会で優位に立っても不思議ではありません。

私がかつて働いていた国際援助業界は、女性が働きやすく、女性がとても活躍している業界です。緒方貞子さんなどはその典型です。JICA時代には女性の上司にお仕えし、NGOでも女性の上司の下で働きました。二十代のころから女性の上司はあたり前だったので、女性の管理職や経営者、政治家が増えるのは自然なことだという感覚があります。

私の母校のICU(国際基督教大学)は、もともと「女性は優秀だけど、男性はね。。。」と言われる大学でした。学業成績でも外国語能力でも女子学生の方が優秀という実例をたくさん見てきました。私が学生時代から男子学生は肩身が狭かった印象があります。数年前に同窓会の懇親会で大学の理事会メンバーが、こんな趣旨の雑談しているのを耳にしたことがあります。

成績を基準にして奨学生を選んだら、女子学生ばかりになってしまった。あまりにもジェンダーバランスが悪いから、男子学生に下駄をはかせることを考えなくてはいけないかも。。。

おそろしいことに我が母校のICUでは、男子学生のためのアファーマティブ・アクション(弱者や少数派のための優遇措置)が必要になりそうです。数十年後に男性側が男女平等を訴える時代がきても驚きません。「弱い立場にある男子学生にも平等な進学機会を!」と訴えなくてはいけない時代が一歩一歩近づいているのかもしれません。