Jリーグと被災地の子どもたち

今朝(4月23日)のNHKニュースによると、J2リーグの「ロアッソ熊本」の選手たちが避難所の子どもたちとサッカーをしたそうです。選手のなかには、自分自身も被災して避難所にいる人もいたようです。震災関連では痛ましい報道が続きますが、珍しく心あたたまるニュースでした。

思いがけない大地震という非日常的な環境のもとで、子どもたちのストレスもたまります。子どもたちに教育やスポーツを通して「日常性を回復する」というのは、とてもよいケアになります。ロアッソ熊本の選手たちの活動はすばらしいと思います。こういうタイミングだからこそ、スポーツは大切です。

Jリーグが地域密着で運営されてきた良さが、こういった地域社会への貢献に現れています。Jリーグの方針がすばらしいのは、初代チェアマンの川淵三郎氏の方針がすばらしかったからだと思います。川淵さんとは2,3度お会いしただけですが、とても魅力的な方で大ファンになりました。

Jリーグのチームを地域密着型にするために、必ずチーム名に地名を入れるのが決まりになっています。もちろん「ロアッソ熊本」もそうです。また、プロ野球の球団名にはスポンサー企業名が入っていますが、Jリーグのチーム名にスポンサー企業名は入っていません。スポンサー企業よりも、地域のサポーターを重視する発想です。プロ野球球団が大都市中心であるのに対し、Jリーグのチームは地方都市にもたくさんあります。それぞれの地域の誇りとなって、地域の人たちに愛されて支えられています。

川淵さんの名言(と私が思っているもの)に以下のような言葉があります。

失敗を恐れて何もしないよりも、失敗を糧としたほうがいい。

「時期尚早」と言う人は、100年たっても「時期尚早」と言い続ける。「前例がない」と言う人は、200年たっても「前例がない」と言い続ける。

夢は子どもたちだけが見るものではない。むしろ大人が思い切り夢を語り続けることがなければ、新しいことなど何も始まらない。

川淵さんに対しては、独裁的という批判もありましたが、前例のないことにチャレンジすれば、どうしても反対意見もいろいろと出てきます。今回のロアッソ熊本の地域貢献の事例などを見ていると、川淵さんは正しかったと思います。地域密着型のチーム運営で正解だったと思います。

元JICAサッカー部のマネージャー(*注)、かつ、元FIFAワールドカップ招致推進議員連盟副会長の私 山内康一 も、サッカーの力を信じたいと思います。

がんばれ、被災地の子どもたち! がんばれ、Jリーグ!

注)JICAサッカー部(当時:東京都社会人4部リーグ)では、サッカーが上手な人がキャプテンをやり、ロジ(手続きや段取り)が上手な若手職員がマネージャーをやる慣習でした。サッカーがあまり上手ではない私は、マネージャーとしてグランドの外で活躍しておりました。