「希望の歴史」【書評】

正直言ってあんまりいいことのない一年でしたが、来年に希望をつなぐ意味で「希望の歴史」という本をご紹介します。歴史学を専攻したオランダ人のジャーナリストが書いた本で、とても読みやすくて役に立つ本だと思います。

本書にはいろいろな事例が出てきますが、行動経済学や教育学などの本でどっかで読んだことのある事例が多いです。その中で広く知られているけれど、事実とは異なる事例を検証している部分が秀逸です。広く知られている実験結果のいくつかは、問題のある研究手法で実験されていて、事実とはほど遠いことが示されています。

例えば、心理学者のフィリップ・ジンバルト氏によるスタンフォード大学の監獄実験は有名なので、何かの本で目にした方は多いと思います。被験者の学生を監獄を模した実験室に入れ、一部を受刑者、一部を看守に指名し、数日の間にそれぞ……

書評

「希望の歴史」【書評】

正直言ってあんまりいいことのない一年でしたが、来年に希望をつなぐ意味で「希望の歴史」という本をご紹介します。歴史学を専攻したオランダ人のジャーナリストが書いた本で、とても読みやすくて役に立つ本だと思います。 本書にはいろいろな事例が...
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ビジネスと人権:朝日新聞社 with Planet 投稿文です。

朝日新聞社のデジタル版のwith Planetに「ビジネスと人権」をテーマに投稿しました。ご一読いただければさいわいです。 ビジネスと人権、企業とNGOの連携が必要な理由とその方法とは? (asahi.com)
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岸田政権が減税を打ち出しました。私は愚策だと思います。理由は次の3つです。 1.税収の上振れを国民に還元するというのは、プライマリーバランスが黒字のときに言うべきことです。多額の国債を発行している現状では、国民に還元する余裕はありま...
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