日本の大学改革の失敗と改善案

今年(2024年)3月に出たばかりの「高等教育改革の政治経済学」という本は、私が以前から考えていたことを裏付ける内容で、たいへん興味深く勉強になりました。

この二十年ほどにわたり行われてきた大学改革(高等教育改革)は明らかに失敗です。科学研究論文数に表れる研究力、世界大学ランキングの順位、学生数の増減など、さまざまな指標で見た日本の大学改革は他の先進国の大学改革に比べ成果が出ていません。現場の大学教員も疲弊しています。「オーバードクター」という言葉ができるほど、博士課程を修了した人材が有効に活用されず、大学教育の成果が活かされていません。

著者(大森不二雄東北大学教授)によると、大学改革の失敗は、①ガバナンス、②財政、③政策過程、の3つの視点にまとめることができます。大森氏は次のように述べます。

政策過……

子どもと教育

日本の大学改革の失敗と改善案

今年(2024年)3月に出たばかりの「高等教育改革の政治経済学」という本は、私が以前から考えていたことを裏付ける内容で、たいへん興味深く勉強になりました。 この二十年ほどにわたり行われてきた大学改革(高等教育改革)は明らかに失敗です...
政治の動きと分析

極右は「変な人たち」という正しいレッテル

この十年ほど私は「ポピュリズム政治とどう戦うか」というテーマについて考えてきました。そんな問題意識のもと最近読んだ「週刊東洋経済」(2024年9月7日号)の「極右は『変な人たち』という正しいレッテル」という記事に感銘を受けました。 ...
子どもと教育

沖縄科学技術大学院大学は東大を超えたのか【書評】

私が自民党議員だった頃(2005~2009年)、自民党のシンクタンク(いまはありません)の運営委員会(?)の委員でした。その頃に自民党シンクタンクの事務局長をされていたのが、本書の著者の鈴木崇弘先生です。鈴木先生は日本のシンクタンク...
書評

2023年に読んだ本のベスト10

毎年恒例(?)の「今年読んだ本のベスト10冊」をご紹介させていただきます。今年最初から最後まで読み通した本は約250冊(*小説や雑誌などは除く)。そのなかで印象に残ったお薦めの本を厳選した10冊です。お読みいただければさいわいです。...
書評

「希望の歴史」【書評】

正直言ってあんまりいいことのない一年でしたが、来年に希望をつなぐ意味で「希望の歴史」という本をご紹介します。歴史学を専攻したオランダ人のジャーナリストが書いた本で、とても読みやすくて役に立つ本だと思います。 本書にはいろいろな事例が...