正直言ってあんまりいいことのない一年でしたが、来年に希望をつなぐ意味で「希望の歴史」という本をご紹介します。歴史学を専攻したオランダ人のジャーナリストが書いた本で、とても読みやすくて役に立つ本だと思います。
本書にはいろいろな事例が出てきますが、行動経済学や教育学などの本でどっかで読んだことのある事例が多いです。その中で広く知られているけれど、事実とは異なる事例を検証している部分が秀逸です。広く知られている実験結果のいくつかは、問題のある研究手法で実験されていて、事実とはほど遠いことが示されています。
例えば、心理学者のフィリップ・ジンバルト氏によるスタンフォード大学の監獄実験は有名なので、何かの本で目にした方は多いと思います。被験者の学生を監獄を模した実験室に入れ、一部を受刑者、一部を看守に指名し、数日の間にそれぞ……