辺野古基地建設はムリと米シンクタンク報告

朝日新聞2021年4月4日(朝刊)「辺野古『完成可能性低い』米シンクタンク報告書」という記事を読むと辺野古基地建設は技術的に不可能なことがよくわかります。

これまでの沖縄県や日本人の専門家も同じことを言ってきましたが、今回は米国の戦略国際問題研究所(CSIS)が「完成する可能性は低い」と指摘した点が重要です。

この報告書はリベラルな市民団体が出したものではありません。沖縄系米国人の方々が訴える提言でもありません。冷静な分析で知られる戦略国際問題研究所(CSIS)が出した報告書という点がポイントです。

戦略国際問題研究所(CSIS)は、外交・安全保障分野のシンクタンクとしては世界でもっとも有名で優秀な部類に入ります。日本との関係も深く、ワシントンのいわゆる「ジャパン・ハンド」も在籍しています。

米国内の政治的立ち位置でいえば、超党派で中立的です。共和党とも民主党とも等距離という感じでしょうか。決して左翼系シンクタンクではありません。そして報告書を執筆したのは、元海兵隊大佐のマーク・カンシアン上級顧問です。反戦平和運動家ではなく、海兵隊の元大佐が書いた報告書です。

戦略国際問題研究所(CSIS)のマーク・カンシアン氏は取材に対し「7万1千本も杭を打たなければならない軟弱地盤は明らかに不安定」と答えたそうです。沖縄だけでなく米国内でも完成を疑問視する声が出てきたことに注目する必要があります。

もはや「辺野古が唯一」と壊れたテープレコーダーのように同じ答えを繰り返す日本政府の立場はあやういです。日本政府の公式見解は、軟弱地盤の上に立っているようなものです。元海兵隊員の執筆者でさえ、海兵航空団の辺野古移設がむずかしいと認めています。

日本政府もそろそろ認めるべきです。これ以上の軟弱地盤の埋め立て工事は、税金のムダ使いであり、無意味な環境破壊です。前例踏襲で融通が利かないという官僚制の欠陥の典型例です。

立憲民主党が政権の座に就いたら、すぐに米国政府の交渉を始め、辺野古の埋め立て工事はストップすべきです。沖縄県の民意、技術的な困難、費用対効果、抑止力への影響などを総合的に考えれば、辺野古に海兵航空団の新基地を建設すべきではありません。