ミャンマー問題について国会で質問

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4月12日衆議院決算行政監視委員会でミャンマー軍事政権による市民の虐殺や人権侵害への日本政府の対応について質問しましたので、概要をご報告させていただきます。

 

1)中国政府と同様に国軍寄りの態度を示すことの問題

ミャンマーでは2月1日に国軍によるクーデターがおき、アウンサンスーチー氏は拘束され、多くの市民が平和的な不服従運動を展開しています。それに対して国軍は暴力的な手段で弾圧し、罪のない子どもも含め多くの市民が犠牲になっています。すでに子どもを含めて死者は600人を超えたとの報道もあります。

そんな中で中国の駐ミャンマー大使のチェンハイ大使は、国軍を批判せず、中国がアウンサンスーチー氏側と国軍の双方と良好な関係にあり、和解のために「建設的な役割を発揮する」と強調したと報道されています(読売新聞:2021年2月18日)。

実はこれは茂木外務大臣が言っていることとまったく同じです。茂木大臣は3月10日の衆議院外務委員会で「日本として、国民民主連盟(NLD)に対しても、ミャンマーの国軍に対しても、様々なルートを持っている。私もフライン司令官とは直接2度お会いしている。そういう関係もある。」と発言しました。

誇らしげに国軍とのチャンネルを語っているように見えます。その国軍のチャンネルが機能しているならわかりますが、国軍が茂木外務大臣の言うことに耳を傾けている様子はありません。市民を虐殺している軍の指導者と2回会ったことを自慢げに語る外務大臣はいかがなものかと思います。

日本が寄り添うべきは、ミャンマー国軍ではなく、ミャンマー国民です。昨年11月の選挙で圧勝した国民民主連盟(NLD)こそが民意の負託を受けた正統な政権です。暴力で政権を簒奪した軍事政権には正統性がありません。

正統性がない軍事政権と、民意の負託を受けたNLDを、同列に並べて、対等の当事者のように語るのは間違いです。日本政府は、ミャンマーの国軍と選挙で選ばれた国民民主連盟を対等に扱い、その間に立って中立的なスタンスを取ろうとしているように見えます。

ミャンマーのクーデターと市民の虐殺に関して中立はありえません。菅総理の決断で、中立ではなく、日本はミャンマー国民の側に立つということを宣言し、国軍を強く非難すべきです。

中国は軍事政権寄りの立場をとってきたため、ミャンマー国民の間で反中国感情が高まっています。もともとミャンマー人は親日派が多く、日本に好感を持つ人と多いです。しかし、これまでのように軍事政権寄りの姿勢を続ければ、対日感情の悪化も懸念されます。

国軍関係者と不用意に日本の大使が会うことで、日本政府が軍事政権の立場を認めているように受け止められる恐れがあります。丸山駐ミャンマー大使が西側諸国でクーデター後に最初に軍事政権の幹部と接触したと報道されています。軍が任命した外務大臣と丸山大使が会談したことで、ミャンマー市民から「国民が選んだ外務大臣ではない」とか「日本は軍政を応援するのか」といった批判が起きたと報道されています。

軍事政権が倒れて、民主化勢力が政権の座に戻った時には、日本の立場は非常に難しくなるのは目に見えています。ミャンマー国民の対日感情の悪化は、長期の国益を損うことを認識すべきです。

外務省はミャンマー国軍とのパイプを誇らしげ気に語りますが、すでに2017年ロヒンギャ虐殺でも国軍は世界の批判を浴びています。ロヒンギャ問題は日本ではそれほど注目されませんでしたが、国際社会(特にイスラム諸国)では高い関心を持たれ、国軍寄りの姿勢を示せば、国際社会における日本の平和国家のイメージが傷つきます。ロヒンギャ問題に加えて、さらに今年の国軍のクーデターとその後の市民への銃撃や殺害、報道の自由の否定が続きました。

ロクに役に立ってない国軍とのパイプを誇るのはやめて、米国をはじめ民主主義国家と連携して国軍政府に圧力をかけるべきです。クーデターを起こしたミャンマー国軍に好まれる日本ではなく、非武装の不服従運動を続けるミャンマー国民に信頼される日本であるべきです。

 

2)ODAの停止について

先進民主主義国の多くが国軍関係者や国軍系企業への制裁を始めました。日本はこれまで多額のODAを供与してきましたが、いまだに実施中のODA案件を停止していません。難民支援等の人道援助を除き、ODAは停止すべきです。

 

3)国軍系企業への制裁について

民間企業でもキリンホールディングスが、国軍系企業と関係のある合弁事業の提携を解消する英断をしました。すばらしい判断です。企業の人権への配慮としてはお手本となる判断だと思います。

政府としても日本企業にも軍の関連企業等との合弁や投資を控えるよう呼びかけるべきです。法的根拠が必要なら法整備により経済制裁ができるようにすべきです。人権を理由とした経済制裁に関しては、日本政府は南アフリカのアパルトヘイトに関して1985年にも実施しました。外国為替法や外国貿易法に基づいて投資規制や輸入規制を行うことは可能です。

菅総理はまもなく日米首脳会談に臨まれますが、ブリンケン国務長官は3月30日にミャンマーの国軍系企業に投資している各国企業に対して「投資を見直すべきだ」と訴えました。ブリンケン氏は国軍系企業への投資を打ち切れば、「国民の意思に反して権力を維持する国軍への経済的支援を断つ手段になる」と発言しました。ミャンマー問題でも日本がアジアの頼れる同盟国だとアメリカに認識されるよう、ブリンケン国務長官の訴えに応えるべきです。

 

4)天安門事件の過ちを繰り返すな

産経新聞の今年2月20日付「天安門の過ち 繰り返すな」という記事に次のような記述があります。「1989年に中国が民主化運動を武力弾圧した天安門事件で、欧米が中国に厳しい政策を科したのに日本が甘い対応をとり、中国の強権性を増長させた」。「同じ過ちを繰り返してはいけない」と訴える産経新聞の記事に強く賛同します。天安門事件の後に中国に対して宥和的な対応をしたことは、その後の経過をみると良い結果をもたらしませんでした。

バイデン政権は、外交において人権や民主主義といった普遍的価値を重視しています。まもなく日米首脳会談がありますが、日本は価値観を共有する国としての姿勢を示す必要があると思います。ミャンマーで市民を虐殺している国軍側に肩入れしている印象を持たれるのは、長期にわたる日本の国益を損います。

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