英国のおもしろい公約:砂糖税

いま英国では総選挙(下院議員選挙)が行われていますが、労働党のマニフェストを読んでいるとおもしろい項目がありました。

子どもの歯の健康に関し、「砂糖税(sugar tax)の拡大」という項目があります。英国では砂糖が入ったソフトドリンクには砂糖税が課税されます。その砂糖税のさらなる増税も公約のひとつです。虫歯や肥満を抑制し、かつ、財源(数百億円規模だと思います)の確保にもなります。

さらに「学校の近くのファストフード店の禁止」とか、「ジャンクフードの広告の規制」とか、「食べ物に含まれる塩分表示の規制強化」とか、「英国では週に18軒のペースでパブがつぶれているので、コミュニティのパブを守る措置をとる」とか、日本ではあまり見かけない公約も並んでいます。

個人的には、ソフトドリンクの砂糖税増税には賛成です。甘くてカロリーの高いソフトドリンクの消費を抑えることは、子どもの健康のためにも大人の健康管理のためにも有益です。価格というシグナルを使った消費抑制策は必ず効果があります。

現行の英国の砂糖税でも800億円程度の税収があるそうです。現行の英国と同じレベルの砂糖税を課税できれば、日本の人口は英国の約2倍なので、おそらく1500億円くらいの税収増加につながることでしょう。

そのお金をぜんぶ子どもの貧困対策や学校給食の無償化(あるいは給食費の値下げ)に使えば、子どもの貧困対策にも役立ちます。

ちなみに全国の小中学校の給食を無償化するのに5000億円程度かかります。砂糖税で1500億円カバーし、さらに給食代にあてられている就学援助費が不要になることを勘案すれば、プラス3000億円くらいの予算で全国の学校給食無償化が実現できます。

ついでにソフトドリンクへの砂糖税課税は、ペットボトルのソフトドリンクの消費量を減らすので、プラスチックごみの削減にも役立つことでしょう。海洋を漂うプラスチックごみに占めるソフトドリンクのペットボトルの割合はかなりのものだと思います。

砂糖税などの「バッド(bad)課税」は日本でも検討すべきだと思います。社会的に望ましくない行為に課税し、抑制するのは社会的合意も得られやすいと思います。ソフトドリンクの砂糖税、日本でもどうでしょうか?