新型コロナ被害に関する経済政策

立憲民主党の逢坂政調会長は、新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大による経済的悪影響を緩和する経済政策が必要だと発言しました。すでに新型コロナ被害への対応を始めている国もあります。

シンガポール政府は、2月18日に発表した2020年度(2020年4月~2021年3月)の予算案に約5400億円の新型肺炎対策を盛り込んでいます。全国民の家計支援を目的に100~300シンガポールドル(約8000円~約24000円)の現金支給等を決めています。

シンガポールの新型コロナ対策は、感染症対応の省庁の予算に加えて、法人や労働者向けの「安定化サポートパッケージ(約3200億円)」、一般世帯向けの「ケアサポートパッケージ(約1280億円)」に分けられます。雇用維持のために政府が雇用主に月給の8%分を3か月間補助する「雇用サポート」制度。法人税の25%の税額軽減。中小企業向けの運転資金の融資。航空会社向けに着陸料の割り引き。ホテルなどの固定資産税の10~30%の還付。盛りだくさんです。

タイ政府は、観光業者の債務の返済期限延長、住宅ローン金利の切り下げ、航空機のジェット燃料税の減免をすでに発表しています。

香港政府は、民主化運動の混乱に加えて新型コロナ感染拡大で観光客が激減し、約4200億円規模の経済対策をまとめました。旅行会社やレストラン、小売店等への補助金支給、香港市民1人当たり約14万円の補助金の支給が決まっています。低所得世帯や学生にはさらに追加の補助金が支給されるそうです。

マカオ政府は、法人税の減免、個人所得税の一部返納、固定資産税の免除、印紙税の免除、中小企業の運転資金の利子補助、中小企業向けの無利子融資、市民の電気代と水道料金を3か月助成等を実施しています。

台湾政府は、最大で約2160億円規模の特別予算を編成し、観光や運輸等の影響の大きかった産業への支援を行います。

韓国政府は、航空会社向けの緊急融資や空港施設使用料の3か月猶予等を決めています。サプライチェーンに影響が出ている自動車産業や部品メーカーへの支援を検討しており、「部品企業の新型コロナウイルス対応支援センター」という部署を設置したそうです。中小企業への無利子融資等も行っています。

日本政府の新型コロナ対策関連の予算は153億円です。ウイルス薬の開発支援やマスクの増産といった費用を手当てするそうです。また、観光業を中心に打撃を受けた中小企業向けに政府系金融機関が資金繰りの支援を行うそうです。

しかし、諸外国と比べると、日本の新型コロナ対策費はけた違いに少ないです。人口当たりの予算を見れば、さらに少なくなります。シンガポールの人口が560万人ほどであることを考えれば、日本の一人当たりの対策費がいかに少ないかがよくわかると思います。

危機対応というのは、オーバーリアクション気味、拙速気味でよいと思います。「大げさだ」という批判を恐れる必要はありません。空振りを恐れて慎重になって手遅れになるよりも、拙速の方がマシという割り切りも大切だと思います。「兵は拙速を尊ぶ」といいますが、危機管理もそうだと思います。

日本軍の敗因を分析した「失敗の本質」でも、日本型官僚機構に見られる「兵力の逐次投入」を指摘しています。「ここが勝負どころ」と思ったら、一気呵成に戦力(人員と予算)を集中投入する必要があります。

安倍政権の新型コロナ対応は、事前に用意されていた緊急対応プランをうまく使うことなく、のんびり構えてリソース(人員と予算)を逐次投入し、後手後手に回っている印象です。

他方、学校の一斉休業の判断については、首相官邸のトップダウンで決まったようで、文部科学省や厚生労働省にろくに相談や調整もなく、安倍総理の判断で突然決めたようです。今回の危機はだんだんエスカレートしている危機であり、文科省や厚労省と調整しながら学校休業の是非を時間をかけて検討できたはずです。拙速なだけで、思慮に欠ける判断だったと思います。拙速なら何でもよいということでもありません。安倍総理は危機の指導者としての適性に欠けるようです。

今回の新型コロナに関しても、危機対応は一義的には行政府の責任であり、政府の役職に就いていない国会議員が変な形で介入することはできません。国会質疑の中で問題点を質すといった活動が中心になると思います。しかし、政府の「プランA」に対して、野党がオルタナティブとしての「プランB」を示し、より良い対応策づくりに貢献することはできるかもしれません。政務調査会でも新型コロナ対策の経済政策を議論していきたいと思います。

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