少人数学級はいいけれど、非正規教員を増やさないように

いま衆議院では小学校の少人数学級の推進の法改正の審議をしています。具体的には学級編成の標準を現行の40人から35人に引き下げる法改正です。この法改正に関しては与野党ともに賛成で、全会一致で成立する見込みです。

しかし、過去の地方自治体の少人数学級推進の事例を見ていると、良いことばかりではありません。少人数学級編制を実現するには、教員の人数を増やす必要があります。多くの地方自治体が「教員を増やす必要があっても、人件費は増やしたくない」と考えて、非常勤の教員を増やしました。

教員の増員は大切ですが、非正規の教員を増やすことには問題があります。非正規の教員は、給与水準も低く、不安定な雇用になり、安心して働けません。長期にわたって働ける保証がなければ、研修や自己研鑽に力を入れることも難しいでしょう。同じように教えているのに、非正規教員と正規教員で待遇に大きな格差があれば、職場環境としても望ましくありません。

そういった懸念について文部科学大臣と初等中等教育局長に文部科学委員会で質問しましたが、大臣も局長も一応は前向きな答弁をします。しかし、最終的に教員の採用を決めるのは、地方自治体なので、文科省の答弁がどこまで実効性を持つのかわかりません。

文科省にこの問題について法改正後の適切なフォローアップを求めるため、文部科学委員会として注文を付けておく必要があります。そのための手段として法案採決時に「附帯決議」というのを付けることがあります。

委員会採決時の附帯決議に対しては、委員会で文部科学大臣から発言があり、文科省として配慮する旨を約束します。附帯決議には法的拘束力はありませんが、一定の配慮を行うことが義務づけられます。

私の主張で以下の一文が附帯決議に入りました。

本法により計画的な教員定数の改善が図られることによって、地方公共団体においては必要な教員を採用・配置しやすくなる。国は、非正規教員が増加することのないよう、地方公共団体に対し、正規教員を計画的・安定的に採用・配置するよう促すこと。

多少なりとも非正規教員の増加への歯止めになったらうれしいです。