福岡県知事にコロナ対策で提言

昨日(6月9日)立憲民主党福岡県連では、福岡県の小川知事に対して新型コロナウイルス対策の第2次政策提言を行いました。すでに4月に第1次のコロナ対策の提言を行いましたが、それに引き続いて第2次提言です。

県議団を中心に市議の皆さんの意見を踏まえながら作成しました。私の持論のインフルエンザ予防接種の無償化の提言も含めてもらいました。ご参考までにその提言を転載します。ご覧いただければさいわいです。

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福岡県知事 小川 洋 様

                   立憲民主党福岡県連合 代表 山内 康一

 

福岡県における感染症対策の確立を求める提言

―県民の命と暮らしを守る「ウィズコロナ」社会に向けてー

 

貴職におかれましては、新型コロナウイルス感染拡大防止のために、日夜ご奮闘頂いていることに、心から敬意と感謝を申し上げます。

2か月近くに及んだ緊急事態宣言は全国的に解除されたものの、感染拡大のリスクは続いており、第2波のみならず日常的な警戒が求められています。

残念ながら私たちの生活は、ワクチンや特効薬の開発が進まない限り、このウィルスと共存していかなければならないのが現実です。まさにこれからしばらくは「ウィズコロナ」社会と言わざるを得ません。

しかし、今春のような休業・外出・自粛要請を繰り返すことになれば、既に疲弊している県民生活は立ち行かなくなります。緊急事態宣言がもたらした社会経済活動への影響は、今後更に深刻化することが予想されます。従って知事のリーダーシップのもとで、迅速かつ丁寧な対策を講じることは必定です。

同時に今後は、「ウィズコロナ」社会を前提に感染拡大防止と社会経済活動継続を可能とする対策が必要です。医療提供体制の強化、地域公衆衛生体制の確立、「検査と隔離」の徹底による安心の確保など「攻めの戦略」を構築し、経済活動の維持や県民生活の安定を図るために、以下の提言を速やかに実行して頂きますよう要望致します。

1.福岡県における感染症対策の確立(再構築)に向けて

(1)「検査と隔離」の徹底で「攻めの戦略」を構築すること。

①PCR検査の大規模な実施により、市中感染の実態把握、陽性者の早期発見(偽陰性、偽陽性に留意しつつ)、陽性者との接触者調査・検査の徹底、感染者の治療・療養によって感染拡大を防止すること。

②社会経済活動継続のための、指針を明確にすること。

③感染拡大に伴い社会経済活動が縮小される場合は、「補償」とセットで対策を講じること。

(2)検査体制の早急な確立及び隔離と医療提供体制の確保について

① PCR検査体制

1)検査対象者の基準を見直し、対象の拡大を図ること。そのためのロードマップを作製すること。

2)PCR検査,抗原・抗体検査、唾液検査等によって、検査体制を飛躍的に拡大すること。そのため、県医師会の協力を得て実施している「PCR検査センター」を県内市町村に拡大すること。

3)民間、大学などの研究機関をはじめとする多様な人材と検査機器の活用など能力を総動員すること。

4)感染症指定医療機関、協力医療機関の医療従事者、入院患者に対する優先検査を実施すること。

 

②  医療提供体制の確保及び宿泊・療養体制の整備

1)重症者、中等症者に対する医療体制(病床確保、人工呼吸器・ECMOの確保、人材確保等)のさらなる充実を図ること。

2)無症状・軽症者の早期発見と隔離療養によって感染拡大を防止すること。そのため宿泊療養に必要な施設(ホテル等)を引き続き十分に確保すること。

3) 新型コロナ感染症を専門に担う「コロナ専門病院(若しくは専門病棟・専門病床)」の設置を検討すること。併せて、感染症指定病院の整備を図ること。

4)新型コロナ対応を行う医療機関等の経営環境の悪化、地域の医療機関等の病院経営の存続危機の指摘を踏まえ、早急に実態を把握し地域医療の崩壊を防ぐ対策を講じること。

5)急患患者のたらい回しを防ぐために、近隣自治体との連携を図り、救急外来の受け入れ態勢を整備すること。

 

③ 福祉施設等の感染症対策の確立

1)高齢者福祉施設、障がい者福祉施設等に対する「感染症対策マニュアル」を策定すること。さらに、施設等の従事者、入所者の優先検査を実施すること。

2)訪問看護・介護などの在宅支援について、サービス提供の継続を可能とする支援体制を確立し、利用者・従事者の安全確保策を講じること。

3)高齢者福祉施設、障がい者福祉施設をはじめ、各種サービス提供事業者の経営状況を把握し、事業継続への対策を講じること。

 

(3)保健所を核とした地域公衆衛生体制の再構築について

① 新型コロナウイルス感染症対策から明らかになった保健所機能と地域公衆衛生体制の脆弱性を早急に克服すること。

② 保健所における感染症対策の専門的機能を早急に拡充すること。保健師、医師をはじめとする専門職の確保、感染症対策の専門的知識を持つ人材の育成を図ること。

③ 地域の公衆衛生体制を担う保健所と地域医師会(地域の医療機関)や各自治体との地域連携を確立すること。

④ 地域における感染防止対策を徹底するため、各種事業所や施設等との連携を図り、感染症対策を支援すること。

 

(4)季節性インフルエンザの予防接種について

新型コロナウイルス感染症の第2波、第3波の流行時期と季節性インフルエンザの流行時期が重なると医療崩壊の恐れがあることから、インフルエンザの流行を抑えるため、今年度に限りインフルエンザ予防接種を公費で無償化すること。あわせて県としてインフルエンザ予防接種の広報啓発を広く実施し、なるべく多くの県民がインフルエンザの免疫が持てるように取り組むこと。

 

2. 命と暮らしを守る「ウィズコロナ」社会の創造に向けて

(1)直面する「コロナ禍」の実態把握に基づく支援(対策)を早急に構築すること

  • 企業倒産と失業の増大に備える対策を準備し、倒産・失業回避に向けてあらゆる手立てを講じるとともに、雇い止めの実態を把握し必要な支援を行うこと。
  • 失業によって住居と収入が同時に失われるケースの発生が予測されており、住居と生活費を確保しつつ自立を目指す支援プログラムを準備すること。
  • 生活困窮者(ネットカフェ難民、路上生活者等を含む)の実態を把握し必要な対策を講じること。
  • ひとり親家庭への支援の充実、DVや児童虐待の相談体制の拡充及び実態把握を行い対策の徹底を図ること
  • 大学生等の学業継続のための支援策を講じること。
  • セーフティーネット対策(緊急生活資金融資、生活保護への誘導)の強化を図ること。

 

(2)「ウィズコロナ」時代の労働・雇用対策について

① テレワーク等による働き方に伴う労働条件と労働環境の変化を検証し、労働者保護のための対策を講じること。

② 安易な雇い止め、離職の強要・解雇等を防止する対策を強化するとともに、企業への積極的な働きかけや相談体制を拡充すること。

 

(3)「ウィズコロナ」時代の新しい教育について

  • 学校再開における不登校の実態を把握し、子どもたちの多様な学びを保証すること。
  • コロナ休業による「リアル」(集合型)と「オンライン」(非集合型)学習の検証を踏まえ、学校を含めた教育の在り方を見直すこと。
  • 子ども達の学習保障のため、オンライン授業とともに、県下全域でのテレビ授業を実施すること。
  • 感染症対策を踏まえた少人数学級を実現するとともに、学習指導要領を抜本的に見直すこと。
  • 高校受験を控えた中学3年生の休業による影響を踏まえ、来年度県立高校の入試の在り方を検討すること。私立高校においても同様に取り組むこと。あわせて大学受験を控えた高校3年生への必要な配慮を行うこと

 

(4)当面する課題への対応について

① 県内市町村における特別定額給付金の支給状況をはじめ、各種支援策の実施状況を明らかにすること。

② 持続化給付金(国)、持続化支援金(県)等、事業者支援制度にかかる申請・給付状況を明らかにすること。

③ 住民税等の納税猶予申請の状況を把握し、生活困窮の実態を明らかにすること。

④ 上記の実態把握を含め、この間実施した施策の検証を行い、次にいかすこと。

⑤ 災害避難等における新型コロナウイルス感染症対策の徹底を図ること。