前原氏と枝野氏のどちらが代表になっても

代表選のマスコミ報道を見ていると、どのグループがどちらの候補者を支持しているとか、野党共闘がどうとか、そういうことばかり報道されます。政策よりも政局(=権力闘争)の側面ばかりにスポットがあたっています。政局ネタばかりを好んで取り上げるのが、日本のマスコミの「政治部カルチャー」だと悲しくなります。

民進党についての報道も、細野氏に続いてだれが離党するかとか、前原氏や枝野氏では変わりばえしないとか、党内のゴタゴタや過去の失敗のことばかり言及されます。もう少し政策本位の報道をしてくれないものかと思います。

前原氏も枝野氏も同じ党の代表候補なので、主張に似た点が多いのは当然です。あまりにもかけ離れた政策ばかりだったら、別の党にいて不思議はありません。マスコミ報道は「差異」にスポットをあてがちですが、私は「共通点」にスポットをあてて、代表選後の民進党について考えてみたいと思います。

前原氏も枝野氏も共通しているのは、冷たい「自己責任社会」から脱却し、「みんなで支え合う社会」をめざしてる点です。小さな政府がいき過ぎた結果として、セーフティネットや公的サービスも小さくなりました。両候補者ともに、所得の再分配機能を回復し、社会保障の充実により、将来不安を解消する政策を柱にしています。お二人とも共通して、医療、介護、子育て、教育、失業対策等の「人への投資」や対人サービスを重視しています。安倍政権の自民党が経済成長至上主義であるのに対し、前原氏と枝野氏の両候補は社会保障や暮らしを重視しています。

大きなくくりで言えば、両候補ともに、社会民主主義でリベラルな立ち位置を明確化し、中間層や弱者にやさしい政策を柱にしています。英国政治の類比に頼るなら、自民党が保守党的な立ち位置であるのに対して、民進党は労働党的な立ち位置であることを明確化したともいえます。

かつて民主党内には新自由主義的な考えの人も多くいました。前原氏自身も認めているように、10年くらい前まで前原氏も新自由主義的な行政改革や規制緩和を主張していました。しかし、前原氏の立派なところは、新自由主義的な政策は誤りだったと率直に認め、社会民主主義的な方向へ舵を切った点です。もちろんある程度までは新自由主義的な政策が有効な政策分野もありますが、あらゆる政策を新自由主義的な発想で改革するのは問題だと多くの国民が気づき始めていると思います。

どちらの候補者が代表に就任したとしても、民進党は、今後は新自由主義的な行政改革や規制改革とは距離を置き、社会民主主義的な政策を前面に押し出すことになります。今回の代表選でハッキリしたのは、その点だと思います。

前原代表になるのか、枝野代表になるのか、私にはわかりません。しかし、どっちが勝っても、民進党が進む方向は明確化し、自民党との差別化がしやすくなります。いき過ぎた格差社会・自己責任社会ではなく、支え合う社会・安心できる社会をめざす、という党の方針が固まります。それだけでも代表選をやった価値があったと思います。

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