政権交代期待できる状況を

毎日新聞(6月29朝刊)の「オピニオン(論点)」欄は「民主主義担う政党とは」という特集を組み、吉田徹教授(北海道大学、比較政治、欧州政治)の「政権交代期待できる状況を」というインタビュー記事を載せていました。吉田教授の発言を抜粋すると;

野党は行政の瑕疵、疑惑やスキャンダルを追及する「番犬」であることに加え、次の選挙を見据えて、政権担当能力を持っていることを証明しなければならない。包括的で実行可能な政策を野党が示せていないから、安倍政権の支持率が下げ止まっている。「政権を託してもよい」と国民から思われる野党作りを早く始めるべきだ。政権に就いてしまうと政策の変更はしにくい。政策を鍛え上げるのは野党時代にしかできない。

私も同感です。ざっくり言えば、野党の役割はふたつです。ひとつは政府の監視、権力の暴走を抑える役割。もうひとつは次の政権の準備です。「この政党なら政権を任せてもよい」と思わせる政策を“パッケージ”で示すことが大切だと思います。準備不足のまま棚ボタで政権に就いてしまって迷走したのが、民主党政権の失敗だったと思います。民主党政権では個々の政策では良い政策もありましたが、その政策を総体として見ると印象が悪かったと思います。たとえば再分配政策、たとえば環境政策、たとえば米軍基地問題など、主要な政策テーマについての答えを野党時代に事前に準備しておく必要があります。

安倍政権の経済政策「アベノミクス」の目的は家計所得を増やすことにある。野党にとっては「税負担を高める代わりに、教育、医療、介護などの分野で家計負担を最小にする」といった社会的投資政策を取りまとめて掲げれば、与党への対抗軸になるのではないか。

これも私の以前からの持論と重なります。民主党時代から「人への投資」を重視してきたことを考えれば、立憲民主党も国民民主党もこの政策では一致できると思います。教育、子育て支援、医療、介護、障がい者支援などの家計負担を減らし、将来不安の解消に努めることが大切だと思います。

政権交代をほんとうに実現したいのなら、野党は今から政権構想を練らなければ間に合わない。

これも我が意を得たりという感じです。野党第一党の立憲民主党が、早いうちに政権構想を示すのは義務だと思います。政権構想をつくるための準備作業は、通常国会が終わったらすぐにでも本格化させるべきだと思います。個人的にはそのために政党のシンクタンクをつくって、そこで政権構想の柱になる政策を組みたてて、上手にプレゼンテーションしていくことが必要だと思っています。

野党同士が何らかの政策協定や協力をすることによってしか、政権交代はありえない。

小選挙区制のもとで自民1強を突き崩すためには、野党の協力が必要なのは間違いありません。野党第一党の立憲民主党の役割は当然重要です。欧州の比例代表の選挙制度をとっている国では、複数の政党が「政党ブロック」を形成し、政権交代を目指して共闘することが多いです。そういう枠組みを衆院選までに形成していくことが必要だと思います。

尊敬する畏友の吉田徹教授のご意見はいつもながら的確だと思います。何としても政権交代を期待できる状況をつくるためにがんばります。