統一会派が政権交代へのステップである理由

立憲民主党、国民民主党、「社会保障を立て直す国民会議」の3つの衆議院内会派が統一会派になることは、実は「政権交代への第一のステップ」と言ってもよいことを数字でお示ししたいと思います。

2005年衆議院選挙は自民党が圧勝しました。その時の自民党の議席数は296議席、野党第一党の民主党の議席数は113議席でした。しかし、113議席という基礎のもとで与党を追い詰めて2009年の政権交代を成し遂げました。

2009年衆議院選挙で、与党の民主党は308議席を獲得し、野党第一党の自民党は119議席でした。119議席の野党の自民党は、民主党政権を追い詰め、2012年の政権奪還につながりました。

 つまり「110議席代で政権交代を狙える」ということです。

逆に政権交代につながらなかった時の野党第一党の議席数を見てみます。

2014年衆議院選挙では自民党の勝利に終わり、政権交代には失敗しました。その直前の議席は、自民党294議席に対し、民主党57議席でした。野党第一党が57議席というのは、前代未聞の議席数の少なさでした。

2017年衆議院選挙も自民党が連勝し、政権交代に失敗しました。その直前の議席は、自民党は291議席、民主党73議席でした。73議席では攻めきれませんでした。

そして2017年衆議院選挙で、与党の自民党は284議席を獲得しましたが、野党第一党の立憲民主党はわずか55議席でした。55議席では「政権を狙う」と言っても迫力に欠けます。

現在の会派構成でいえば、立憲民主党70議席(無所属議員含む)、国民民主党39議席、社会保障を立て直す国民会議8議席です。3つの会派が統一会派になれば、一気に117議席になります。

なんと「政権交代前夜の110議席代」に到達します。政権交代前夜の議席数は110代という法則に照らせば、統一会派の結成には意義があります。

以上述べたことを箇条書きすると以下のようになります。

【2009年総選挙の前】 自民党:296、民主党:113   →政権交代

【2012年総選挙の前】 民主党:308、自民党:119   →政権交代

【2014年総選挙の前】 自民党:294、民主党:57      →政権維持

【2017年総選挙の前】 自民党:291、民主党:73      →政権維持

【2017年総選挙の直後】自民党:284、立憲民主党:55

【2019年秋の見込み】 自民党:285、統一会派:117

安倍政権の支持基盤は、①経済成長に期待する層、②政治に安定を求める層、③右派的支持層、というのが3本柱だと思います。①と②の支持層が分厚く、③の岩盤支持層は1~2割という程度だと思います。

米中貿易戦争の悪影響、長く続いた世界的景気拡大の停滞、異次元の金融緩和の限界など、いつ経済が悪化してもおかしくない状況です。日本経済の悪化を期待するものではありませんが、予期せざるを得ません。景気が悪化すると、「①経済成長期待層」の支持が損なわれます。

おそらく「②政治に安定を求める層」も、さすがに超長期政権になり、飽きも出てくるでしょう。長いわりにレガシーのないことに多くの人も気づいていることでしょう。

何があっても安倍総理を支持し続ける右派的支持層は別として、これからの経済状況次第では安倍政権の支持基盤はゆらぐ可能性が高いと思います。

次の衆議院選挙は、本当に「政権選択選挙」にできるかもしれません。そのための第一歩が、統一会派です。これからリアリティのある政権構想と共通政策を検討し、政権交代の受け皿に十分なれる状態をつくっていきたいと思います。