住宅の断熱化で“グリーンリカバリー”

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最近の国政レポートの内容を転記させていただきます。ご一読いただければさいわいです。

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住宅の断熱化で“グリーンリカバリー”

コロナ禍で世界は一変しました。コロナ以前の社会には戻らないでしょう。コロナ後により良い社会を築くための経済回復策として世界では「グリーンリカバリー」の考え方が広がっています。環境を重視した「グリーン」な景気対策で地球温暖化をくい止め、持続可能な社会をめざすものです。「グリーンリカバリー」の柱は、自然エネルギー、電気自動車、公共交通機関の利用促進、そして住宅や事業所の断熱化(省エネ化)です。

エネルギーをつくるよりも、エネルギーの消費量を減らす方が安上がりです。自然エネルギーの拡大も大切ですが、省エネルギーも重要です。省エネルギーに関しては「ヒトと地球にやさしい住宅政策」が有効です。欧州連合(EU)の「欧州グリーンディール」も、米国の「グリーンニューディール」も、住宅の断熱(省エネ)改修を優先度の高い投資と位置づけています。住宅の断熱化は、(1)温暖化ガス(CO2)排出量の削減、(2)住環境(住み心地)の改善、(3)家計の光熱費負担の軽減、(4)断熱化工事による雇用創出と景気底上げの効果があります。住宅の断熱化は「一石四鳥」のお得な「グリーンリカバリー」です。

ヒトと地球にやさしい住宅政策のインパクト

「未来のためのエネルギー転換研究グループ」の試算によれば、① 2030年までに家庭の断熱工事と省エネに16.9兆円を投資すると、② 累積光熱費削減額は33.7兆円に上り、③ 経済波及効果は46.4兆円に及び、④ 雇用創出数は297万人(1億円あたり17.6人の雇用創出)の効果があるそうです。投資額(16.9兆円)よりも光熱費削減額(33.7兆円)の方が大きく、長い目で見れば、とても高収益の投資です。

平均的な3人家族の年間光熱費は、電気代13万円、ガス代6万円ほどです。光熱費の削減は、家計の可処分所得を増やします。国が、公営住宅(URや市営住宅等)の断熱改修に補助金を出せば、家計の光熱費負担とCO2排出量の両方を削減できます。光熱費負担を減らして生活費の負担を楽にすることができて、かつ脱炭素化も進みます。

住宅の断熱化は住環境の改善につながります。日本では多くの高齢者が室温の低い住宅内で「ヒートショック」で死亡しています。2016年の入浴時の死者は4,866人ですが、多くがヒートショックが原因です。すでに断熱化が進んでいる北海道ではヒートショックの死者は意外と少なく、九州などの暖かい地方の方が断熱化が遅れており、冬のヒートショックの死者が多いことが知られています。住宅の断熱性が高まれば、室温差が引き起こす「ヒートショック」による死者を減らすことができます。住宅の断熱化は命にも関わる課題です。

また日本では空き家問題が深刻です。全国の空き家は約850万戸、空き家率は13.6%と高い水準です。空き家に買い手・借り手がつかない理由のひとつは、中古の家が寒くて暖房費が高くつくことです。寒い家だと窓が結露してカビが生えやすく、健康被害の原因にもなります。中古住宅を高断熱化すれば、買い手・借り手がつきやすくなり、空き家率の低下につながります。高断熱化した住宅は「ストック」としての価値が上がります。

昔から「衣食住」と言いますが、住宅は暮らしの基本中の基本です。住宅の断熱化により、住み心地は良くなり、光熱費は減り、しかも脱炭素化で地球温暖化防止に貢献できます。住宅の断熱化工事は、地場の中小零細企業でも対応できるので、地域の工務店の仕事を増やすことになります。政府は、中小零細企業の断熱化工事の技術レベルを上げるため、情報提供や研修、公的助成や公的融資で支援すべきです。大規模な公共事業でもうかるのは大手ゼネコンですが、住宅や事業所の断熱化工事は比較的小規模な工事が多いため、中小企業や街の工務店の仕事を創り出し、地域の雇用を守ります。住宅や事業所、公共施設などの断熱化工事を「グリーンリカバリー」の柱にすべきです。

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