政府チャーター機の費用の自己負担は必要か?

新型コロナウイルス感染が蔓延して封鎖された中国武漢市に日本政府がチャーター機を派遣し、在留邦人の帰国を支援することになりました。当然の措置であり、政府の迅速な対応には敬意を表します。しかし、そのチャーター機の乗る費用として8万円を徴収するそうです。何か違和感を覚えます。

日本では救急車を呼ぶのは無料です。救急車が来て「すみません。利用料は2万円です」と言われたらショックだと思います。本当に困った時に政府に助けてもらうのは当たり前だと思います。遠慮する必要はないと思います。

外務省の内規によると、在外邦人の輸送にあたりチャーター機を利用する場合、当該区間のノーマルエコノミー片道料金を徴収することになっているそうです。政府の説明では、すでに武漢から自力で脱出した人は自費で帰国しているので、そういう人との公平性を考えて料金を徴収するという理屈だそうです。

一理あるかもしれません。しかし、納得はできません。おそらくこのような対応の背景にあるのは、「自己責任」という近年広まっている考えではないでしょうか。何でもかんでも自己責任という考えが支配的な今の政権では、自分の意志で武漢市に滞在している以上、避難にかかる経費も「自己責任」で「自己負担」せよ、ということなのでしょう。

しかし、もし8万円を払えない日本人が武漢市にいたら見捨ててよいのでしょうか。自己負担を前提とすると、避難できるか否かの格差が生じる恐れがあります。日本企業の駐在員なら8万円は簡単に負担できるでしょう。しかし、在留邦人がみんな経済的に豊かとは限りません。武漢市に滞在する日本人で困窮している人がいないとは限りません。その人が8万円を用意できず避難できなくても、「自己責任」だから仕方ないのでしょうか。お金のない国民を見捨てる政府が、私たちの望む政府のあり方でしょうか。

今回の武漢市の例では、政府の負担で在留邦人の帰国を支援して差し支えないと私は思います。そういう時のために税金を納めているのではないでしょうか。税金というのはお互いに助け合うためのお金だと思います。仮に税金でチャーター機を飛ばしても、それを批判する国民はそんなに多くないと思います。いつ自分や家族が同じような状況に置かれるかわかりません。「イザという時に政府が助けてくれる」という安心感のために税金を投入するのは問題はないと思います。日本国民の生命にかかわる事態に税金を投じて何が悪いのでしょうか。

チャーター機に乗る人は1機で約200人です。1人あたり8万円で1600万円の費用徴収です。国民の生命を守るといえば防衛費。たとえば、地対空ミサイルPAC3は1発あたり5億円といわれていますが、それに比べて1600万円は法外な予算とは思えません。こんなことまで「自己責任」とか「自己負担」とか言わなくてもいいんじゃないでしょうか。

そんな問題意識のもと内閣に対して、以下の質問主意書を提出する予定です。

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政府チャーター機の利用に係る費用の負担に関する質問主意書

昨年末、中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスは、感染が中国全土から我が国などの諸外国にも拡大しており、その影響は世界的な広がりを見せている。

こうした事態を受けて、政府は、チャーター機を運航し、湖北省に在留する邦人の帰国支援を行っているが、同機の利用に当たって利用者が負担する費用について、以下質問する。

一 今般の政府チャーター機の利用については、利用者から約八万円を徴収すると報じられている。当該料金は、外務省の内規である「緊急事態時における在外邦人等輸送のための政府チャーター機利用者よりの搭乗費用の徴収規程」に従い、国際航空運送協会(IATA)が定める正規片道エコノミークラス料金であると解してよろしいか。

二 海外において生命又は身体の危険にさらされている邦人を保護するための航空費(事務の遂行に当たって政府が要する経費を除く。)について、政府ではなく、当該邦人が負担することとするのは何故か。その考え方を示されたい。また、これについて定める規定があれば示されたい。

三 海外において生命又は身体の危険にさらされている邦人を保護するための航空費(事務の遂行に当たって政府が要する経費を除く。)に関し、政府がこれを負担した例、当該邦人がこれを負担した例、それぞれについて主な事例を示されたい。

四 今般の事態をめぐっては、我が国だけではなく、米国やフランスなども自国民の帰国を支援することが報じられている。海外在留の自国民の帰国支援について、航空費等の費用を本人が負担することとしている国として、現時点で政府が把握している国を挙げ、当該国の制度(法定の有無を問わない。)の概略を説明されたい。また、航空費等の費用を政府が負担することとしている国として、現時点で政府が把握している国を挙げ、当該国の制度(法定の有無を問わない。)の概略を説明されたい。

五 海外において生命又は身体の危険にさらされている邦人を保護するための航空費(事務の遂行に当たって政府が要する経費を除く。)を当該邦人が負担することの妥当性について、政府の見解を示されたい。

右質問する。

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