「闘う前原代表」へ

週明けにもまた離党者が5人出るとの報道。民進党の国会議員はだいたい140人ほどです。5人どころか10人、15人と離党したところで、引き続き100名超の野党第一党です。産経新聞などはすぐに「解党」といった言葉を使いたがりますが、民進党に代わる野党第一党は出てこないでしょう。「解党」などという言葉に踊らされ、浮足立って右往左往する必要はありません。

個人的には、ボロボロと離党していく人たちの中で、引き留めたいと思う人はあまりいません(一部引き留めたい人もいますが)。たとえば、日本会議メンバーの民進党議員などは「ありえない」と前々から思っていました。そういう人が離党していくのは、ある意味で「純化プロセス」です。日本会議的な極右議員が離党して下さるのは、大変ありがたいことです。

小選挙区制のもとで自民党政権を倒すには、ある程度は野党勢力のすみ分けや協力が必要です。そのときに名ばかり野党の「日本維新の党」は、自民党の補完勢力そのものですから、民進党が連携できる相手ではありません。

次に「都民ファーストの会」の国政版新党は、どうやら右派的な改憲政党になりそうです。都市型の新自由主義政党になるでしょう。旗振り役の若狭勝氏は「民進党と大々的な選挙協力をするという考えはまったくない」と言っています。先方も民進党と協力したくないようですし、そもそもめざす社会像が異なります。「都民ファースト」国政版新党とは連携の余地がありません。

今の日本政治では、「与党」と「野党」という区分けが意味をなしません。日本維新の会は事実上「野党」ではないのに、何となく「野党」のような扱いをされています。より重要な区分は、「右派ブロック=自民、公明、日本維新、都民ファースト」と「中道リベラルブロック=民進党、社民、自由」という区分けです。共産党はそれだけで独立したカテゴリーとみなすのが適当でしょう。中道リベラルブロックの旗頭は民進党です。

枝野さんが代表選の最中に主張していたように、民進党を離党して都民ファースト国政版新党に合流する議員の選挙区には、できる限り対抗馬を立てるべきです。そうでないと「しめし」がつきません。民進党が対抗馬を立てられなかったら、社民党や自由党の候補者を推薦してもよいでしょう。

私は、民進党は「リベラル+穏健な保守」の中道政党であるべきだと思っています。前原代表は基本的に「穏健な保守」だと思います。また、社会保障や経済政策に関しては、前原代表のいう「All for All」は欧州の社会民主主義政党と同じ発想です。前原代表は、新自由主義からの決別を宣言し、リベラルな社会政策を強く打ち出しています。そもそも欧州の社会民主主義政党は、だいたい増税で医療や教育を充実させることを主張します。前原新代表のもとで民進党は、国際標準の社会民主主義政党化しつつあるといってよいかもしれません。

前原代表に期待したいのは、安倍政権・自民党だけでなく、日本維新の会や都民ファーストの会のような新自由主義的な政党との差別化です。「自民、維新、都ファ VS 民進党」という対立軸を鮮明にできたら、有権者に立派な選択肢を示したことになります。アベノミクスに代わる選択肢としてAll for Allを打ち出し、正々堂々と政策論争を行うのが前原代表の役割です。

離党者問題などは、枝葉の議論です。前原代表には、離党する人たちに対して「去る者は追わないが、対抗馬は必ず立てる」という「闘う姿勢」を示し、「闘う代表」になってほしいと思います。前原代表におかれましては、細野氏にエールなど送らず、離党者とは断固闘う姿勢を明確にしてほしいです。「闘将前原」になって前のめりに闘ってほしいと思います。闘志をむき出しにして先頭に立って闘ってほしいと思います。