自民党総裁になってほしくない議員NO.1:野田聖子さん

報道を見る限り、自民党の総裁選はすでに菅総裁誕生で固まったようです。党員投票は行わず、派閥の数合わせで一気呵成に菅政権誕生の道筋ができました。いつか見た風景です。自民党の派閥政治はまったく変わっていないことがよくわかりました。やっぱり「保守」政党です。

日刊スポーツの今日(9月2日)の政治コラム「政界地獄耳」のタイトルは「自由でも民主的でもない自民党の体質」というものでした。まったくその通りです。ヴォルテールの言葉に「神聖ローマ帝国は、神聖でもなければ、ローマ的でもなく、さらには帝国でさえなかった」というのがあります。それに倣っていうなら「自民党は、自由でもなければ、民主的でもなく、さらには派閥の寄せ集めで政党の体さえなしていない」とでもいえるかもしれません。

そんな中で、野田聖子元総務大臣が、総裁選への立候補を見送ることを表明しました。他党の総裁選なので、まったく当事者ではありませんが、ちょっと残念な気もするし、「もし野田聖子さんが自民党総裁だとやりにくい」という気もします。

ある意味で立憲民主党にとって一番やりにくい自民党総裁候補は野田聖子さんだと思います。政策的に差別化しにくいし、立憲民主党の「売り」政策をとられてしまいそうです。「野田聖子総裁だとやりにくい理由」を以下に述べます。

 

1.女性初の総理大臣

おそらく「女性初の総理大臣」というだけで、一気に人気が出るでしょう。これ以上に有利な要素はないと思います。わが党にとって手ごわい相手になるでしょう。

ちなみに、ユニセフ議員連盟の会合などで野田聖子さんとご一緒したことがありますが、野田さんは人当たりがよく感じの良い人です。野田さんは帝国ホテルの従業員だったくらいですから、サービス精神があり、総理になったら人気が出るでしょう。

 

2.リベラルな家族観と社会政策

たとえば、野田聖子さんは選択的夫婦別姓制度の推進派です。選択的夫婦別姓制度は、立憲民主党の柱の政策のひとつです。主要政策が重なると、わが党の「売り」をとられます。同性婚などに関しても野田聖子さんはリベラルな考え方です。社会政策で自民党と差別化するという観点では、古くさい家族観のおじさん総理の方が戦いやすいです。

 

3.障がい者政策、ジェンダー政策

野田聖子さんのお子さんは障がいがありますが、野田聖子政権ができたらきっと実体験を踏まえて障がい者にやさしい政策を強力に推進することでしょう。また、女性の社会進出を促進する政策、男女差別をなくす政策などにも力を入れることでしょう。立憲民主党にとっては、自民党と差別化ができる政策が減り、やりにくくなります。

 

もちろん野田聖子さんと政策と立憲民主党の政策が完全に一致するわけではありません。たとえば、野田さんはカジノ推進派だし、細かく見ていけば、わが党の政策とあいいれない主張もたくさんあります。

しかし、選択的夫婦別姓制度や障がい者政策、ジェンダー政策等の主要政策において差別化がむずかしいため、戦いにくい相手だと思います。

日本国と国民の利益を考えれば、他の自民党総裁候補に比べて、野田聖子総理は良い選択肢かもしれません。他方、立憲民主党にとっては、野田聖子総裁は戦いにくい相手です。選挙対策の観点からいえば、「自民党総裁になってほしくない議員NO.1」といえるかもしれません。