安倍政権6年半をふり返る(2):ピント外れの子どもの貧困対策

安倍政権6年半をふり返るシリーズの第2弾です。日本は先進国の中でも子どもの貧困が深刻な国です。ひとり親世帯の貧困率の高さは先進国トップです(特に父子家庭より母子家庭の貧困が深刻です)。

子どもの貧困は、政治の貧困そのものです。子どもの貧困は子どもの責任ではなく、社会全体で取り組むべきです。政府は税金を使って貧困に取り組むのが当然ですが、安倍政権はピント外れな政策を打ち出しました。2016年4月5日付ブログ「国家が寄付を集めるべきか?」の再掲です。

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安倍政権の子どもの貧困対策はピント外れです。政府は、鳴り物入りで2015年10月に「子供の未来応援基金」というのをつくり、民間に寄付を呼びかけています。「目的は正しいけれど、手段が間違っている」という政策の典型例です。この政策は官と民の役割分担という観点から問題があります。基本的な発想も間違っているし、費用対効果も最悪です。

 

1.費用対効果の悪さ

民進党の蓮舫代表代行が予算委員会で費用対効果の悪さを指摘しました。2億円以上の税金を使って寄付を呼びかけて、集まった寄付金は約2千万円だったそうです。2億円の広報費を使って、2千万円の寄付を集めるのは、誰が考えても費用対効果が悪いです。

一般に民間財団やNPOが寄付を呼びかけるときの経費は、寄付金でカバーします。寄付を集めるための広報費は、NPO業界の常識でいえば寄付金額の2割以内がふつうで、1割くらいで済めば優秀な部類です。つまり寄付金を集めるための広報費に2千万円くらい使って、2億円の寄付を集めるといったバランスが、NPO業界の相場観です。集まった寄付金の金額よりも、寄付金集めの広報費が大きいというのは、明らかに失敗です。

せっかく寄付してもその大半が広報費に消えるのでは寄付者は納得しません。NPOは、知恵をしぼって広報費を抑え、なるべく事業費に回す努力をします。政府の「子供の未来応援基金」は、おそろしくバランスが悪く、非効率な事業です。私が寄付者の立場だったら、「子供の未来応援基金」に寄付するより、地元の子ども支援NPOに寄付する方を選びます。

 

2.官と民のすみ分け

問題は費用対効果だけではありません。そもそも「政府が寄付金を集めるべきか?」という本質的な問題があります。寄付という行為は、民間の発意と善意に基づくべきです。

安倍政権では、何でも国家が口を出そうとします。国家が市場に介入したり、市民社会の領域に介入したり、余計なお世話が多いです。寄付という純粋に民間セクターの行為にまで、国家が介入するのはおかしいです。

国が子どもの貧困対策に資金が必要だと判断したら、税収から予算を確保するのが当然です。国は、寄付を呼びかけるよりも、徴税すればいいわけです。

もちろん民間の力で子どもの貧困問題に取り組むのはたいせつです。しかし、国が音頭をとって民間の企業やNPOをリードしようという姿勢に問題があります。安倍政権では「国民運動」にしたいそうですが、その発想自体が全体主義国家的です。市民の主体的な参画による「市民運動」こそが、21世紀の自由で民主的な社会では望ましいと思います。

 

3.本来、国がやるべきこと

政府が子どもの貧困対策のために本来やるべきことは、再分配政策の見直しや母子家庭への支援の拡充、貧困家庭への児童手当の増額、就学支援等です。政治の責任で子どもの貧困に取り組むべきであり、税金を投入して当然です。子どもの貧困のような問題にこそ国費を投じるべきです。わざわざ国が寄付を呼びかけるという発想自体がおかしいです。

国が果たすべき役割は、子どもの貧困対策に貢献している企業やNPOの支援のために税金で助成することです。国は資金を出すけれど、市民の自発性は尊重する、という助成が望ましいです。

また、寄付税制を拡充して、NPOが寄付金を集めやすい環境づくりに力を入れるべきです。日本に寄付文化が根付きにくいのは、税制にも原因があります。寄付金控除の手続きを簡素化したり、寄付金の控除額を増やしたりと、寄付しやすい環境を整えるべきです。

安倍政権は、これまでもNPOや市民団体に冷淡で、どんなテーマでも国家が前面に出ようとします。国家主義的、家父長的な態度がにじみ出ています。お上に何でも依存する社会や国家が主導する社会よりも、市民が主体的に課題に取り組む社会が望ましいと私は思います。

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