バイデン政権の「市民気候部隊」もすばらしい!

またしてもバイデン政権の政策の宣伝(?)です。バイデン政権の成長戦略第一弾に「市民気候部隊(CCC: Civilian Climate Corps)」の創設という新政策が含まれています。

これはフランクリン・ローズヴェルト大統領(民主党)のニューディール政策の目玉のひとつだった「市民保全部隊(CCC: Civilian Conservation Corps)」から着想を得ているのは明らかです。

同じ民主党政権で、ニューディール政策の市民保全部隊(CCC)に対し、グリーン・ニューディール政策の市民気候部隊(CCC)。大恐慌という危機に立ち向かった成功事例に学んで、コロナ危機という新たな危機に対処するということのようです。

たまたま先日(2021年3月16日)に「ニューディールの市民保全部隊(CCC)と芸術支援」というブログを書いてご説明しましたが、市民保全部隊の概要おさらいすると以下の通りです。

✓市民保全部隊は若者(17~28歳)の失業対策として計画。1933年開始。

✓森林管理、土壌保全、治水(防災)、国立公園管理等の事業に従事。

✓全国1300カ所に6~24か月の任期で派遣され、インフラ整備事業に従事。

✓社会に貢献する仕事を通して生活の安定を図ることを目的。

✓市民保全部隊が派遣された地域は経済的にも潤い、治安の改善等も含め、受け入れ地域で高く評価され、のべ300万人の若者が参加。

✓第二次世界大戦の激化にともない、人手不足となって廃止された。

ローズヴェルト大統領は市民保全部隊を続けたかったそうですが、戦時下の人手不足で失業対策どころではなくなり、やむを得ずこの事業を廃止したと言われています。対象者が男性だけだったり、少数派(主に黒人)の参加率が低かったりと、批判された点もありますが、それでも成功したプログラムだと評価されています。

バイデン大統領の市民気候部隊は、100億ドルの予算を投じ、若者に限らず多様な世代が参加するとされています。公共用地や水源の保全、湿地帯や森林の保全、植林、地域の防災力の強化、環境保全、生物多様性保全等に取り組むとされます。

日本でも同様の取り組みが有効だと思います。気候変動対策を中心としつつも、その他の公益事業もカバーできる「日本版市民保全部隊」はよいアイデアだと思います。バイデン政権の市民気候部隊に似たような組織は日本でも必要です。

若者に限らず、ロストジェネレーションや引きこもりの人たちに社会に貢献できる雇用の場を作り、あわせて職業訓練的な要素を持たせて、正規の雇用につなげていくプログラムにするとよいと思います。

日本版市民保全部隊は、災害時の緊急支援や復興支援、自然公園の美化、国有林の間伐や整備、鳥獣被害対策、豪雪地帯の雪かき、ワクチン接種会場のサポート等、さまざまな公益に貢献する活動を対象にしたらよいと思います。

日本では「市民気候部隊」の「部隊」に違和感を覚える人も多いでしょう。しかし、米国人は「部隊」という軍隊的な響きが好きな気がします。たとえば、日本の青年海外協力隊がお手本にしたのはケネディ大統領が創設した「平和部隊(Peace Corps)」ですが、やっぱり「部隊」という名称です。

日本で「部隊」はないだろうから、青年海外協力隊や地域おこし協力隊を同じく「隊」という名称がよいかもしれません。名称は「社会貢献活動隊」でもいいし、「地域環境保全隊」でも何でもいいですが、そういうものを作りたいものです。