自民党政治=世襲政治=格差政治

いま福岡6区で衆議院の補欠選挙が行われています。民進党の候補者は地元のふつうのご家庭の出身の女性ですが、自民党系候補者2名はどちらも有力政治家の息子さんです。

そういえば、安倍内閣は世襲議員が目立ちます。安倍総理はもちろんのこと、麻生財務大臣、岸田外務大臣、塩崎厚労大臣など、主要閣僚はみんな世襲議員です。

国会議員になるのも、国会議員になった後で出世するのも、世襲議員が圧倒的に有利というのが、いまの自民党政治の特色といえます。民進党にも世襲議員がいないわけではありませんが、自民党に比べれば圧倒的に少数派で目立ちません。

有力議員の息子や娘は、当選するのも容易です。その上、当選してしまえば、父親の側近議員や同僚議員がみんなして助けてくれます。知名度、選挙地盤、人脈(金づる)もすべて世襲するので、地元活動に力を注ぐ必要もあまりなく、中央の政界でゆとりをもって活動できます。

国会議員の世界では当選回数が重要です。序列に関しては、実年齢以上に当選回数が重要です。ある人が「総理大臣の息子、娘は3階級特進。大臣の息子、娘は2階級特進。」といっていました。「なるほど」と感心しました。つまり総理の息子、娘だと当選回数3回分上乗せで出世する、大臣の息子、娘だと当選回数2回分上乗せで出世する、という意味です。確かに総理の息子や娘は目立つし、出世コースに乗るのが早いです。

ことほど左様に自民党政治は「格差政治」であり、政界は「格差社会」です。格差社会の勝ち組が、安倍総理や麻生財務大臣といえます。勝ち組の政治家は、格差を問題だと思っていないのかもしれません。単に「生まれ」というツキに恵まれていただけなのに、政界で出世しているのは自分の実力だと過信している人もいるように思います。自民党が格差是正策に乗り気でないのは、格差社会の勝ち組が中枢を牛耳っているせいかもしれません。

かつての55年体制の自民党政権は、再分配政策もバランスよく行い、社会民主主義的な政策をとっていました。保守政権なのに社会民主主義的な政策を実施するという、国際的には珍しい政権でした。「一億総中流」といわれた時代の自民党政治は、再分配にも配慮していました。その頃の自民党政権の首相たちは、世襲議員ではありませんでした。

平成に入ってから、首相の世襲議員率が一気に高まります。もしかすると世襲政治家が首相になるようになってから、自民党政権は格差に鈍感になったのかもしれません。「世襲政治家(=格差社会の勝ち組)が首相になると、格差が拡大する政策が採用される」という仮説が成り立つのかもしれません。

今後は「自民党政治=格差政治(世襲政治)」だという認識のもとに、民進党は格差拡大を防ぐ政策を柱にすべきだと思います。民進党は、再分配機能の強化へ舵を切り、格差の少ない共生社会、「生まれ」に関係なくすべての人にチャンスがある社会をめざすべきです。それが自民党政治への対立軸になると思います。