イギリス労働党からのメール

英国でEU議会選挙が行われました。英国労働党のホームページが充実していて勉強になるのでときどき見ていますし、メーリングリストにも登録していますが、選挙中やその直後にメールが来ます。これがおもしろいです。

たとえば、投票日の投票が終わる数時間前にこんな文面のメールが来ます。

Koichi, you can stand up to Nigel Farage’s Brexit Party today.(本日、ナイジェル・ファラージ氏のブレグジット党と戦うことができます。)

露骨に他党の党首の名前が出てくるところが「日本ではないかなぁ」という気がします。個人名で呼びかけられると「ブレグジット党と戦わなくてはいけない」という気分になりそうです。

投票所が閉鎖されるまでまだ6時間あります。投票が済んでいない方、まだ間に合います!

という文章と、居住地近くの投票所をおしえてくれるボタンが示されます。丁寧な設計です。

Only Labour can unite our country. Make sure your voice is heard today by putting a cross next to Labour.(労働党だけがわが国を団結させられます。今日、労働党に投票することで、あなたの声が届けられるようにしましょう。)

といった文言で締めくくられます。そして投票後にまたお礼メールが届きます。

投票して下さってありがとうございます。大変な選挙でしたが、支持者の皆さんの努力がちがいをうみます。戦いは終わりません(The fight doesn’t end here, Koichi.)

といったお礼のメールです。重要なところに必ず個人名が入るのがポイントで、名前を書かれると、なんか参加したような錯覚におちいります(日本にいて何もしてないですが)。

また、英国でも総選挙が近い雰囲気だそうです。

保守党政権が崩壊しつつあり、かつてなく総選挙が近づいているように感じます。われわれは準備ができています。(a General Election feels closer than ever, and today, we’re ready for it.)

日本でも衆参同日選挙ムードが広がりつつあります。立憲民主党も「We are ready for it.」と言い切り、総選挙に向けて体制を整備しなくてはいけません。立憲パートナーズや党員の皆さん向けのメーリングリストのサービスも強化した方がいいかもしれません。

つい先ほど、メイ首相(Theresa May)の辞任を告げるメールが労働党から届きました。タイトルがしゃれてます。

BREAKING: The end of May

つまり「メイ首相の終わり」と「5月の終わり」をかけています。わかりやすくていいですね。

労働党メールは、平易な言葉で書かれている点も印象的です。ちょうどいま比較政治学の学術書を原書で読んでいます。その本は「Comparative Governance: Rediscovering the Functional Dimension of Governing」というタイトルで、タイトルだけ見ても、固くてわかりにくい本であることが即座に理解できます。ラテン語起源の難解な専門用語がたくさん出てきて、一文がやたらと長い複雑な構造の文章ばかりを読んでいる真っ最中だったので、労働党メールの文章構造のシンプルさとわかりやすさに気づきました。日本の高校生でもだいたい理解できるレベルだと思います。

日本語でも同じですが、すべての有権者に理解してもらおうと思ったら、平易な文章でわかりやすく書くことが大切です。労働党のメールの文章は、わかりやすくてインパクトがあります。トランプ大統領の英語もシンプルですが、だから庶民に受けるのかもしれません。平易な文章を心がけようとあらためて思いました。労働党のメールからいろんなことが学べます。

関連記事

  • 安倍政権6年半をふり返る(16):選択と集中による地方切り捨て安倍政権6年半をふり返る(16):選択と集中による地方切り捨て 安倍政権の6年半をブログでふり返る参院選特別企画の第16弾です。2019年1月28日付ブログ「選択と集中による切り捨て」の再掲です。安倍政権の「地方創生」の背景にある思想の問題に […]
  • イギリス労働党マニフェストの研究イギリス労働党マニフェストの研究 あさっての6月8日はイギリスの下院議員総選挙です(ちなみに貴族院議員の選挙はありません)。保守党優勢で選挙戦が始まりましたが、労働党が急速に追い上げているとの報道。労働党が選挙に […]
  • 世界のトレンド「多数のための政治」世界のトレンド「多数のための政治」 米国のサンダース上院議員が、民主党の大統領候補として再び出馬すると表明しました。前回の民主党予備選では、若年層の支持を伸ばし、ヒラリー・クリントン候補に迫る大健闘をしました。 […]