安倍一強の分析と民進党改造計画(3)

加計学園に関する前文部事務次官の発言は重いです。安倍総理はじめ、官房長官、文科大臣、行革担当大臣が口裏をあわせてウソをついていた可能性が高まってきました。それこそ「共謀」して国民を欺いている可能性があります。こんな政権が共謀罪を制定したら、自分たちの保身のために「共謀罪」を使って野党やマスコミ、国民を監視するに決まっています。「権力は腐敗する。絶対的権力は絶対に腐敗する」と言いますが、安倍政権も5年目に入って腐敗が進んでいます。おそろしいことです。

さて、連載ブログ「安倍一強の分析」の第3回目です。今回は「なぜ国民は安倍一強を支持しているのか?」を考え、8つの理由を挙げてみました。

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4.対国民(選挙、世論)で安倍一強の8つ理由

1)国民の間で「民主党政権失敗」の記憶が生々しく、「民進党に比べたら、自民党の方がマシだろう」という感覚が根強く残っている。「民進党には任せられない」という言葉をよく聞くが、民進党への信頼が高まらない限り、自民党支持率の相対的な高さは変わらない。【民主党政権の失敗の記憶】

2)実は自民党の支持基盤は確実に弱体化している。参議院比例区の業界団体候補者の得票の激減を見れば、自民党支持の業界団体の集票力が落ちていることは明らかである。自民党の地方組織の核になってきた地方議員は、市町村合併の結果として激減し、自民党の地方組織弱体化の一因になっている。しかし、公明党の固い基礎票で自民党の支持基盤の弱体化を補う構図になっている。また、自民党の支持基盤が弱体化しているといっても、民進党をはじめ野党の支持基盤よりは分厚い。【公明党支持者を含め、自民党支持基盤の相対的な強さ】

3)第二次安倍政権はマスメディアとの関係づくりに成功している。安倍総理自身が頻繁にマスコミ各社の上層部や有力な政治評論家と会食したり、ゴルフをしたりして、マスコミとの良好な関係づくりに力を入れている。読売新聞主筆の渡邊恒雄氏との蜜月ぶりは有名。NHKの会長や役員には、安倍総理に近い人物を選び、「NHK支配」を実現し、NHKは安倍総理の外遊時の記者会見などを無批判にノーカット生中継し、“大本営発表”的なニュースを垂れ流す報道機関になりつつある。安倍政権に批判的な報道に対しては、官邸からテレビ局のディレクター等に直接圧力をかけるといった事態も起きている。マスコミに対して「アメとムチ」を巧妙に使い、世論操縦を行っている。【巧みなマスコミ工作】

4)野党が頼りないことも、安倍一強を許す最大の要因のひとつである。「積極的に安倍政権を支持しているわけではないが、他に選択肢がないので支持する」という国民が多いことは、毎回の世論調査でも明らかである。安倍総理への支持は、日本会議に代表されるような右派的・復古的なイデオロギーの右派の支持層が基礎にあり、その外側にフワッとした「消去法的支持層」が分厚く乗っかっている。【野党が弱いことによる相対的な優位】

5)北朝鮮の脅威、中国の海洋進出等、国際的な危機が高まると、安倍政権への支持率が高まる。北朝鮮の脅威が現実のものであることは認められるものの、必要以上に危機感をあおり、国民の不安を高め、求心力を高めようとする意図が感じられる。北朝鮮のミサイル発射を理由に東京メトロ(地下鉄)を止めるといった措置を見ても、危機感をあおるための工作ではないかと邪推せずにはいられない。昔から為政者は、国内の不満から国民の目をそらすために、外敵の脅威を過大に言い募るものだが、安倍政権のやり方は露骨である。露骨ではあるが、求心力を高めるという目的に対しては有効に作用している。【対外的な緊張による求心力】

6)安倍政権は、経産官僚が中枢を占め、経済界(財界)の要請にはよく応えている。法人税の減税、原発再稼働等、経団連の要望事項には敏感に反応している。他方、経済界が嫌がる規制改革には、あまり手を付けていない。また、経済界が嫌う環境対策や地球温暖化には無関心である。経済界の敵をつくる改革は避けている。公共事業や特定産業への補助金や減税措置も積極的に行い、経済界の支持を固めている。【経済界との蜜月】

7)消費税増税といった国民負担増につながる改革を避け、国債増加には目をつぶり、負担の先送り、未来の世代へにつけを回している。「痛みをともなう改革」を避けることは、支持率を維持する手段としては有効である。【国民負担増から逃げる政策】

8)安倍総理は歴代総理のなかでもっとも外遊が好きな総理である。海外出張中は批判されることもなく、テレビカメラの前で各国首脳と握手していれば、ニュースでどんどん流れ、イメージアップにつながる。東京オリンピック・パラリンピックのような派手なイベントには積極的に参加している。東京オリンピック・パラリンピックなどは、人気取り政策の最たるものであり、それを政治利用するのはオリンピックの精神にも反するが、安倍総理はそんなことは気にしない。共謀罪までオリンピック対策にされてしまった。【外遊やイベントを活用した巧みな広報戦略】

 

以上のような要因で「安倍一強」が続いてきました。しかし、このまま安倍一強が続くか否かは不透明です。安倍一強の弊害が多いことは明らかであり、それを突き崩す方法を考えなくてはいけません。長くなってしまったので、「安倍一強を崩す方法」は次のブログで書きたいと思います。