みんなでみんなを支える社会へ

ふだん駅でチラシを配布しておりますが、次号は以下の内容です。またしても、われながら硬い内容のチラシをつくってしまいました。しかし、「簡単な内容にしないと有権者は読んでくれない」と決めつけるのも、ある意味で失礼な話だと思います。「有権者は賢明だ」という信頼のもとに、硬い文章を書いてしまいました。複雑な内容を簡単に説明し過ぎると、本質を逃します。苦痛かもしれませんが、ご一読いただければさいわいです。

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“格差と分断の社会”から“みんなでみんなを支える社会”へ

所得格差や人種、宗教で分断されたアメリカは、トランプ大統領を選びました。格差は、社会を分断し、憎しみ不寛容、あきらめを生みます。日本でもアベノミクスで格差は拡大し、社会の分断が進んでいます。民進党は格差是正に向けた「人への投資」を訴え、教育や子育て支援、介護、医療等の「人」に関わる政策に力を入れます。分断された社会を修復するには、これまでの「小さな政府」路線を軌道修正し、「人への投資」である社会保障や教育投資を充実する必要があります。

自民党の「小さな政府」路線は、自己責任原則のもとで、企業や家族が福祉を担うことを前提としています。しかし、非正規雇用が4割を超えた今では、終身雇用の正社員を前提とした企業依存型の福祉は成り立ちません。ひとり親世帯が増え、三世代同居も減り、未婚率が高まるなか、家族の助け合いに頼れない人が増えています。さまざまなリスクを企業と家族に背負わせる福祉はもう限界です。

人は一生のうちにさまざまなリスクに直面します。交通事故や病気で働けなくなるかもしれないし、介護が必要になるかもしれません。東芝のような大企業でも安泰ではない時代、失業のリスクもあります。すべてのリスクに個人で備えるのは困難です。社会全体でリスクに備えるには、税や社会保障による再分配が不可欠です。いまの日本は再分配に失敗し、貧困率は高く、子どもの貧困も深刻です。

再分配政策への支持を広げるには、特定の階層(低所得者)にだけ有利な税制や給付ではなく、だれもが抱えるリスク(失業、介護、病気等)に対処する給付が重要です。中高所得者を対象から外し、低所得者だけを公的サービスの受益者にすれば、中高所得者層は税負担に不満を感じます。一方、高所得者も中所得者も低所得者も分けへだてなく公的サービスの受益を実感できれば、税負担への抵抗感が薄れます。すべての人が受益者となる政策のなかで、低所得者にも給付を行えば、中高所得者層と低所得者層の対立は発生しません。「広く負担し、広く受益する」制度により、社会保障から漏れる人をなくします。

弱者救済を声高にさけぶと、中高所得者層が負担増を嫌い、政治的対立と分断を生みます。弱者救済の視点ではなく、社会全体ですべての人のリスクに備えるという視点がポイントです。北欧の高福祉・高負担の国では、低所得者も含めて広く負担を課すと同時に、高所得者も含めて広く給付します。北欧では高所得者にも給付のメリットがあるため、高所得者層も再分配政策を支持しています。

また、救済に値する弱者を選別して「救済型の再分配」を行うと、限りある財源のなかで「救済に値する弱者」の範囲がだんだん狭くなり、弱者切り捨てにつながります。さらに、弱者に給付が集中すると、中高所得者層の負担感が増し、給付を削減しようとする圧力がかかります。中高所得者層が反発する再分配政策は成功しません。中高所得者層にも受け入れられる制度をつくることが大切です。

さらに「選別性」をめぐる問題もあります。障がいのある子どもや要介護の親と同居する高所得の家庭も多いはずです。「年収〇〇万円以下の人にだけ給付」といった所得制限を課すと、中高所得者で救済が必要な家庭を排除することになります。保育や医療、介護、障がい者支援等のサービスにおいては、中高所得者層も排除すべきではありません。すべての人を受益者とすることが肝要です。特定の弱者をターゲットとする「だれかの利益」から、みんなが受益する「だれもが受益者」へと発想の転換が必要です。

受益と負担のバランスの回復へ:みんなでみんなを支える社会へ

これまで日本では20年以上にわたり、財政再建のために公的サービスの低下や給付削減を行ってきました。その結果、福祉の水準が低下し、生活不安や将来不安が高まりました。人が生きていくには、教育、医療、保育、介護といったサービス(現物給付)は不可欠です。その費用を「財政を通じてみんなで分かち合う」のか、それとも「個人のお金でまかなうのか」という違いが、政治的に重要なポイントです。アメリカのように個人のお金でサービスまかなう制度では、格差は拡大する一方です。教育、医療、保育、介護といったサービスの費用を「財政を通じてみんなで分かち合う」ことで、生活不安と将来不安を解消し、社会の分断を防ぐことができます。

これらのサービスはだれもが必要とするものなので、無償ないしは低価格で提供する必要があります。人々のニーズを満たすサービスの拡充は、結果として格差是正に役立ちます。たとえば、義務教育には所得再分配効果があります。公立小学校の子どもひとりあたり年間80万円以上の税金が投入されています。もし小学校の費用が自己負担だったら、学校に行けない子どもが大勢出ることでしょう。教育を受ける権利を保障する義務教育のおかげで、貧しい家庭の子どもたちも無償で学校に通うことができ、結果的に格差是正につながっています。親の所得格差を子どもの教育格差につなげないためには、小学校教育が無償であることに大きな意義があります。

教育や子育て支援、医療、介護といった「人への投資」に関しては、「税負担の増大は、家庭負担の軽減につながる」という点をもっと強調し、受益の側面を納税者に知ってもらうべきです。増税への抵抗感が強いのは、税金の使い道がわかりにくいことも一因です。自分が払った税金が、介護や医療、保育園等の目に見える形の公的サービスで還元されれば、増税への抵抗感も弱まることでしょう。まずは消費税を10%にアップする際に、増加する2%のうちの半分1%を教育や子育て支援に回すことを民進党は訴えています。消費税1%分の税収があれば、全国の幼稚園と保育園を無償にできます。子育て世帯の経済的負担を大幅に軽減できます。

さらに資産課税の強化、所得税の累進性アップ、課税ベースの拡大等の税制改革により、財源を確保することも必要です。「税金のムダ遣いをなくせば、財源はねん出できる」という理屈はもう通用しません。増え続ける社会保障費の負担は、ムダ削減や公務員給与カットでまかなえるレベルを超えています。これまでの歳出削減の結果、福祉水準が低下してきた歴史を振り返る必要があります。また、安倍政権の「経済成長で税収アップ」という楽観論もすでに失敗が明らかになりました。少子高齢化で働き手が減っているなかで、負担増(増税)から逃げることなく、増税とセットで公的サービスの充実をはかり、「リスクに個人で備える自己責任社会」から「みんなでみんなを支える社会」への転換が必要です。アベノミクス敗戦のあとには、みんなで支え合う安心社会を築く「人への投資」政策が求められています。

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