施設部隊が「駆け付け警護」をやってよいのか?

なんか「駆け付け警護」って違和感のある日本語ですね。対義語は、「固定警護」とか、「歩いて警護」とか、そういうことでしょうか。

昨日、「“駆け付け警護”って英語でなんて言うんだろう?」という議論になりました。かなり無理してつくった造語のような気もします。なんとなく危険性の少なそうな印象の用語ですが、国際的にはどう表現しているのか気になりました。

グーグル検索で英字新聞が「駆け付け警護」のことを「rescue civilians in remote locations」と書いているのを見つけました。「遠隔地の民間人を救出する」という感じでしょうか。しかし、「remote locations」とは限らないような気もして違和感が残ります。

もう少しグーグル検索してみたら、英国陸軍の空挺特殊部隊(SAS)のWikipediaで「hostage rescue, siege breaking」という表現を見つけました。直訳すると「人質の救出、包囲網の突破」という感じでしょうか。

おそらく「駆け付け警護」は、「hostage rescue, siege breaking」のイメージに近いのではないかと思います。特に後者の「siege breaking」の方が、「暴徒やゲリラに囲まれた民間人を助けに行って包囲を突破する」というイメージになり、より「駆け付け警護」に近い語感ではないかと思います。

だとすれば、「駆け付け警護」は、英国陸軍のSASとか、米国陸軍のデルタフォースとか、米国海軍のSEALsといった、特殊な訓練を受けた最精鋭のエリート部隊がやる仕事です。自衛隊の施設部隊(=土木建設専門の工兵部隊)の役割ではありません。

米英軍の特殊部隊では要員の選抜は厳しく、その訓練にはおそろしくお金と時間をかけます。英軍では特殊部隊の兵士には10万発くらい射撃訓練をさせるそうです。「たまに打つ 弾がないのが、玉に傷」とうたわれる自衛隊とは大違いです。

もっとも陸上自衛隊の特殊作戦群、および、海上自衛隊の特別警備隊は、人質救出作戦の訓練も受けているようです。そういう部隊が「駆け付け警護」に行くならまだしも、施設部隊が「駆け付け警護」をやるのは、リスクが高いように思います。

南スーダンの「駆け付け警護」は軍事的観点からも相当リスクが高いように思います。施設部隊の隊員が心配です。官邸の前のめりの姿勢が怖いです。イケイケどんどんでいいのか、立ち止まって考えた方がよいと思います。