初めてのJICA研修講師

昨日初めてJICAの研修講師を勤めさせていただきました。私は元JICA職員ですが、JICA在勤中も研修講師をしたことはありませんでした。初めての経験でとても貴重な経験でした。

JICA職員だった頃は、研修員の受け入れ人数枠を確保したり、研修事業部という他の部署と折衝したり、という仕事はしていました。研修員受け入れ事業は、当時はJICA本部研修事業部と全国にあるJICA国際研修センターが担当していて、私は研修部門に配属されたことがなく、途上国の研修員の皆さんと直接交流する機会はほとんどありませんでした。

研修講師を勤めることになったのは、立憲民主党本部からの依頼があったからです。JICAから党本部に講師派遣の要請があり、党本部も「そういえば山内さんはJICA職員だったから、JICAの研修だったら断らないだろう」という程度の認識で人選したのだと思います。やはりJICAの依頼だったら断れません。この30分の研修のためにわざわざ上京しました。

研修コースのタイトルは「議会運営・選挙管理」というもの。カンボジア、ケニア、マラウイ、ネパール、パキスタンなどから来た研修員の皆さんは、選挙管理委員会や議会事務局の幹部職員や中堅職員です。日本の選挙運営や議会運営の実態を学んでもらう3週間ほどの研修でした。

ケニア、マラウイ、ネパール、パキスタンには行ったことがあり、何となく親近感を覚えます。マラウイの国会議員に友人がいるので、マラウイからの研修員の消息を聞いたところ、彼はいま落選中で次の選挙に備えているとのこと。彼は一時期は国防大臣という重要閣僚を勤めていましたが、いまは落選中とのこと。私も3年間の落選中の浪人生活はしんどかったですが、彼も厳しい時期なのだと思います。政治の世界はきびしいです。親日家の彼にはぜひ再び当選してほしいものです。

研修では、野党の議員として「野党の役割」について講義しました。その他に「立憲民主党の政策」についても説明し、質問に答えました。与党(自民党)の議員が別の日に講演し、野党を代表して私が昨日講演しました。すでに2週間近く日本に滞在し、日本政治についてもある程度の知識があり、質問内容も具体的でした。

いつか政治の世界を引退したら、JICAが発展途上国で実施している民主化支援や平和構築支援の専門家として赴任したいなぁ、という夢があります。紛争が終結したばかりの国々では、利害対立を武力ではなく、選挙や司法の場で決着させることが重要です。対立を銃弾ではなく、投票や判決で解決するという文化を定着させるのが、平和の定着では重要です。20年後くらいにJICAの民主化支援や平和構築の専門家としてアジアやアフリカの国に赴任できるよう、密かに準備しています。来年もチャンスがあったら研修講師をさせてもらいたいと思います。