本日発令の緊急事態宣言について

いよいよ本日、政府が新型コロナウイルス感染拡大を防ぐための緊急事態宣言を発令することになりました。医療崩壊を防ぎ国民の生命を守るためにはやむを得ない措置であり、緊急事態宣言発令という政府判断を支持します。立憲民主党はもっと早く緊急事態宣言を出すべきと主張してきたので、むしろ遅かったともいえます。

今回の緊急事態宣言は、3月13日に改正された新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づいて発令されます。民主党政権時代に成立した現行法でも適用可能でしたが、政府が「改正」にこだわったため、改正することになりました。立憲民主党はメンツを捨てて改正案に賛成し、緊急事態宣言の発令が可能となりました。もちろん私も改正案に賛成しました。

議論の過程では私権の制限について問題視する声もあり、一部の野党議員が改正案に反対しました。私権の制限が行き過ぎると、専制国家への道を進む可能性があるので、慎重な意見があるのは当然のことです。日本やドイツのように戦前に軍国主義的専制国家を生んだ国では、私権の制限や人権侵害に対して敏感なのは理解できます。今回反対した議員の皆さんのご指摘には耳を傾ける必要があるし、行き過ぎた私権制限の危険性を認識しつつ、慎重に法を執行する必要があると思います。反対した議員の皆さんの見識に敬意を表します。

そういう意味では、与野党そろって全会一致で特措法改正案が成立しなかったのは、国民全体のバランス感覚を示していて健全な気がします(個人的見解ですが)。そういう批判が一定数存在することが、国会の監視機能になり、メディアの関心を引くきっかけになり、権力者の暴走を食い止める一助になります。とても重要な反対意見だと思います。そして反対した議員の皆さんの思いの一部は附帯決議に反映されていると思います。

私が常々思っているのは、政治ではバランスが大切だということです。右でも左でも極端に走って原理主義的になってしまうと、自分だけが正しいという独善的な姿勢につながり、対話が成り立ちません。一定の反対意見があり、その意見も一定程度はくみ取りながら、決めていくことも大切だと思います。

国民の多数派の意見が常に正しいとは限らないことは歴史が示しています。少数意見が正しいこともあります。少数派の意見もあり、反対派の意見もあり、そういう意見があることを踏まえた上で、最終的な判断を下すことが大切だと思っています。また、少数派の意見が正しいことが後になって判明するかもしれないので、国会の議事録に議論のプロセスを残すことにも意味があります。

実際に緊急事態宣言が出される段階になってきたら、今度は逆に「強制力が弱すぎる(=私権の制限が弱すぎる)」という批判が見られるようになってきました。同じ法案ですが、見方によっては、「私権の制限が強すぎる」と批判されたり、「強制力が弱すぎる」と批判されたり、ほど良いバランスが難しいところです。しかし、両方の批判があるという事実が、ひょっとするとバランスの良さを示しているのかもしれません。

私は、私権の制限が行き過ぎないように監視しつつも、感染症の爆発的な拡大を防ぐためには緊急事態宣言のような措置は必要だと考えます。私権の制限が行き過ぎないように、同時に効果的な感染症拡大防止措置がとれるように、国会でチェックしていきたいと思います。

さて、緊急事態宣言が発令される当日ですが、今日も国会や党内の会議がいくつも入っています。党内では、「不要不急の会議は減らす」との方針のもと、私が属する政務調査会の会議も激減しました(蛇足ながら政調の会議開催制限のガイドライン原案は私が提案しました)。

しかし、減ったといっても、コロナ対策の会議や採決予定法案や条約を審議する会議は開かなくてはなりません。政府の緊急経済対策についての会議も今日開かれます。席の間隔をあけて座ったり、テレビ会議に切り替えたり、換気をよくしたりと、できるだけのことはやりながら会議の開き方を工夫しています。

国会では引き続きコロナ対策や経済・雇用危機対策の法案や補正予算の審議が見込まれており、国会の閉鎖は今のところ検討されていません。運よく今のところ国会議員や国会職員、秘書等の国会関係者の感染は確認されていません。危機のときこそ国会は重要です。感染防止を心がけつつも、引き続き国会でがんばっていきたいと思います。

これまで医療関係者、労働組合、業界団体など、コロナ危機に立ち向かっている人々やコロナ危機で困っている人たちの代表の皆さんにお話しをうかがってきましたが、前例のない形式の危機のなかで皆さん全力でがんばっておられます。我われ国会議員も与野党の党派的な対立を一時棚上げしてでも建設的な議論を行い、同時にどさくさに紛れて権力が暴走しないようにチェックしていきたいと思います。

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