トランプ政権のコロナ危機対応の失敗

up

世界でもっとも優秀な感染症対策機関であるCDC(疾病予防管理センター:Centers for Disease Control and Prevention)は、エボラ出血熱でもSARSでもいち早く動いて効果的な対策を打ち出しました。

しかし、今回の新型コロナウイルス危機ではCDCを有する米国は、世界最悪のコロナ感染者を出しています。世界最高水準の人材や研究機関を有しながら、なぜ米国のコロナ対策が最悪の結果になったのか?

答えは簡単です。政治指導者の判断ミスです。トランプ氏の大統領としての資質のなさは明らかです。トランプ大統領は、コロナウイルスの危険性を過小評価し、科学者の意見に耳を貸さずに、いい加減なツイートを繰り返し、マスクも着用せず、自身もコロナに感染してしまいました。

海外の医療事情に詳しい古閑比斗志医師の「ウイルスと外交」によると、トランプ政権下の2018年度予算では、CDCのグローバル・パンデミック対策予算が大幅にカットされ、オバマ政権時代と比較して80%も削減されました。オバマ政権時代の2割しか予算を割り当ててないわけで、CDCのパンデミック対応能力が大幅に低下したのは当然です。

そしてこの大幅な予算カットに対して、ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)の担当局長が抗議して辞任したところ、今度は担当チームそのものを解散させました。トランプ政権は感染症対策に「取り組まない姿勢」を明らかにしてしまいました。

日本もトランプ政権を馬鹿にすることはできません。古閑氏によると、検疫所も保健所も慢性的に人員不足におちいっており、特に2000年代以降の保健所統廃合の進展により、現場は限界に来ているそうです。

国民の健康と社会を守るためには、人員と予算の確保は不可欠です。有事には、より多くの人員と予算が必要になります。平時からの備えが重要です。古閑氏は、保健所機能の再強化と検疫所の増員の必要性を訴えます。危機に強く信頼できる政府をつくるには「小さな政府」信仰から脱却しなくてはいけません。

*参考文献:古閑比斗志 2020年 『ウイルスと外交』 扶桑社新書

関連記事

  • 安倍政権による紛争当事国への経済協力拡大安倍政権による紛争当事国への経済協力拡大 日本のマスメディアも世論もこの数年で変質しました。武器輸出解禁(そして武器輸出促進)とか、外国軍隊への自衛隊航空機の貸与とか、紛争当事国に対する経済協力とか、以前なら問題視された […]
  • アベノミクスの失敗は予測可能だったアベノミクスの失敗は予測可能だった 久しぶりに私の専門分野の「途上国の教育開発」に関するテキストを読んでいたら、いまのアベノミクスの失敗は十分に予測可能だったことに思いいたりました。 安倍政権のアベノミクスの […]
  • ポスターのコピーを勝手に考えてみました。ポスターのコピーを勝手に考えてみました。 昨日(11月10日)立憲民主党の新しいポスターの発表記者会見が開かれました。個人的には旧立憲民主党のロゴの方が好きでしたが、新党ということで新しくなりました。 それから菅総 […]