立憲民主党の国会改革(1)

さる7月17日に立憲民主党としての国会改革案を記者発表しました。それに至る経緯を書かせていただきます。

昨年末だったか、今年1月だったか、忘れましたが、辻元国対委員長から「立憲としての国会改革案を検討しておくように」との指示がありました。

まず国会図書館や衆議院事務局に問い合わせ、先例や論文を集め始めました。その後、何か月もの間、特段の指示もなく、放置されていました。その間、コツコツ資料を読むにとどめておりました。

ところがある時、党の執行役員会の場に突然呼び出され、「今国会中に国会改革案をとりまとめるように」との急な指示を受けました。これを業界用語では「ムチャぶり」と呼びます。

先の通常国会中に自民党の有志議員の勉強会が作った国会改革案が、国会の行政監視機能を弱めかねない危うい「国会改革」だったので、それに対抗して立憲民主党としての国会改革案を作るべきという判断に至ったのだと推測します(理由を直接聞いたわけではないので、あくまで私の推測です)。理由は知らされていませんが、とにかく「今国会中に立憲民主党の国会改革案を作れ」という指示だけは明確でした。

指示を受けて作業をスタートしましたが、一応は半年前から準備はしていたものの、正式な党内の手続きは何も踏んでいません。

急いで政務調査会の「政治改革プロジェクトチーム」の座長や担当議員と調整し、国会改革案のたたき台を執筆し始めました。党内の指揮系統でいえば、「政調ライン」と「国対ライン」の共同作業でした。

さいわい資料準備は済んでいたので、すぐに執筆に取り掛かれました。しかし、時間がなかったので、学者や実務者の講義を受ける時間はありません。仕方ないので「文献と経験」だけで、国会改革案のたたき台を書くことになりました。

国対畑一筋で10年以上やってきたので、経験はあります。国会改革の政党間協議などにも過去に参加していたので、議論の流れもだいたい頭に入っています。

まずは政調の「政治改革プロジェクトチーム」で1回目の会合を開き、議員の意見や提案を聞く場を設けました。それを踏まえ「国会改革案(バージョン1)」を作りました。

次に党の役員の皆さんに「国会改革案(バージョン1)」を見てもらい、コメントや追加の項目をあげてもらいます。役員のコメントを踏まえて「国会改革案(バージョン2)」を作りました。

それをさらに政調の政治改革プロジェクトチームに第2回会合に提示し、出席した議員の意見を聴きます。政調の政治改革プロジェクトチームで出された意見をもとに「国会改革案(バージョン3)」を作ります。

それを政調の上部の会合に「政調審議会」という場にかけます。するとさらにベテラン議員の皆さんから追加の意見が出され、項目が増えます。それを踏まえて「国会改革案(バージョン4)」を作ります。

さらに「国会改革案(バージョン4)」を衆参国対役員会という場にかけて、意見を聴きます。その意見も踏まえ「国会改革案(バージョン5)」ができました。

それを党の常任幹事会という党の最終決定機関にかけて、やっと最終稿という運びになりました。最終的には「バージョン5」が最終稿になり、常任幹事会後に福山幹事長といっしょに記者会見で「立憲民主党 国会改革案」として発表しました。

うちの党が特に官僚的というわけではありませんが、党内の根回しや手続きは重層的で複雑です。政策の中身も大切ですが、みんなの意見を反映させるプロセスも大切です。民主主義というのは手続きも大事です。手続きを時系列で示すと以下の通りです。

(1)役員会で指示を受ける

(2)政調の政治改革プロジェクトチーム(1回目)で意見聴取

(3)国会改革の「たたき台」を作成

(4)役員会で「たたき台」を提示し意見聴取

(5)政調の政治改革プロジェクトチーム(2回目)で意見聴取

(6)政調の審議会で意見聴取

(7)衆参国対役員会で意見聴取

(8)常任幹事会で最終承認

というプロセスをわずかな期間で済ませるのも大変でした。政策の中身を検討するのが政調の仕事とすれば、政策の手続きを担当するのが国対の仕事です。今回はどちらもほぼ一人でやることになりました。やっとすべての手続きが終わったのが7月17日の常任幹事会でした。常任幹事会で承認が下りた直後に記者会見という急なスケジュールで「今国会中」という期限に間に合わせました。

さらに国会閉会後の7月24日に全政党の国対事務局を訪問し、各党の国対役員や党職員に国会改革案を手渡しし、必要があれば口頭で説明し、やっと一連の仕事を終えました。小ネタですが、多くのマスコミで報道してもらったので、気づいた方も多いかと思います。

長くなりましたので、続きは次回。

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