安倍政治を終わらせるべき7つの理由

安倍政権は日本にとって脅威です。衆院選の終盤にあたり、安倍政権の4年10か月をふり返り、安倍政治を終わらせなくてはならない理由を7つにしぼって述べさせていただきます。

 

1.民主主義の危機

安倍政権は、共謀罪や安保法制などの問題法案を数の力で強行採決し、成立させてきました。選挙で圧倒的な議席数を得たからといって、次の選挙までの間なんでもやりたい放題というわけではありません。それでは「多数による専制」であり、民主的ではありません。

しかも、自公政権の圧倒的な議席数も、①死票の多い小選挙区制度のマジック、②約5割の低投票率、③野党乱立による「漁夫の利」効果による自公の議席増、という要素で勝ち取った議席数です。共謀罪や安保法制への世論の支持率の低さを見れば、国会での審議を早めに打ち切って強行採決したのは誤りです。

今回の臨時国会の冒頭解散を見ても、安倍総理の国会軽視の姿勢は明らかです。森友・加計学園の疑惑追及を逃れるために解散権を濫用し、「言論の府」である国会の審議から逃げました。まさに議会制民主主義の危機です。

解散権の濫用も大きな問題です。首相の好き勝手に解散権を行使することをよしとする先進民主主義国はほとんどありません。前回(2014年)の解散総選挙も、松島みどり大臣の“ウチワ疑惑”と小渕優子大臣の政治とカネの疑惑を隠すための「大義なき解散」でした。安倍総理は、疑惑から逃れるために二度も「大義なき解散」を行い、政治を私物化しています。安倍流の政治手法は、民主主義への脅威です。

 

2.平和への脅威

安保法制や憲法9条改正の動きは、戦後大切にしてきた平和主義と平和への脅威です。アメリカのトランプ大統領につき合わされて、日本と無関係の戦争に参加するようなことは避けるべきです。私は、現状では日米同盟は必要だと思いますし、自衛隊の存在を肯定的にとらえていますが、自衛隊を海外の戦争に参加させるのは反対です。

しばしば右派の人たちは「憲法9条があれば平和になるというのは非現実的な夢物語だ」といったロジックで批判します。憲法9条を変えることが「現実主義」だと思い込んでいる人が多いと思います。しかし、憲法9条は、日本が無関係な戦争に巻き込まれることから逃れる安全装置の役割を果たしてきました。

たとえば、朝鮮戦争には、アメリカ軍だけではなく、イギリス軍、フランス軍、オーストラリア軍やフィリピン軍、トルコ軍、タイ軍など、多くの国が参戦しました。憲法9条がなければ、日本もアメリカの圧力で朝鮮戦争に参戦した可能性があったと思います。また、ベトナム戦争には、アメリカ軍以外にオーストラリア軍や韓国軍、フィリピン軍、タイ軍などが参戦しています。憲法9条がなければ、日本もベトナム戦争に参戦していても不自然ではありません。朝鮮戦争は北朝鮮の侵略から始まったので、ある程度の大義がありました。しかし、ベトナム戦争には大義はありません。アメリカが勝手に始めた戦争に参加するのは誤りだと思います。

従来であれば、たとえアメリカから戦争に参加するように要請されても、「すみません。憲法9条があるから、自衛隊を送れません。」という説明ができるので、とても有効な安全弁でした。ところが集団的自衛権の行使を容認する法整備をしたため、その言い訳が通用しなくなりました。それにより、アメリカの戦争に巻き込まれる可能性が格段に高まりました。もっとも安倍総理は「巻き込まれる」というより、「率先して参加したい」と思っているふしさえあります。安倍総理の存在自体が、日本の平和主義と平和に対する脅威です。

 

3.軍事国家化の進展

先日のブログで詳細に書きましたが、安保法制、武器輸出の解禁、軍事援助の解禁などの動きは、日本の軍事国家化を示す兆候です。さらに愛国心教育や道徳教育で「国家のために命を投げ出すのはすばらしいことだ」という風潮をつくることも、戦争をしやすい国づくりの一環です。戦前の教育も「陸軍現役将校学校配属令」のような流れが出てきて、国公立の中学校以上に軍人が配属され、軍国主義化が進みました。軍国主義への道は教育改悪からスタートするというのが、歴史の教訓です。

安倍総理は「教育再生」がお好きですが、「再生」という言葉には、「過去の教育はすばらしかったが、今の教育は荒廃しているから“再生”しなくてはいけない」という含意があると思います。「戦後レジームからの脱却」を唱える安倍総理が、めざすべき「過去」とは戦前に他ならないと思われます。安倍総理の「教育再生」も危険な香りがします。安倍政権は、武器輸出や大学における軍事研究の推進といった「軍産複合体」づくりにプラスして、教育面での軍事国家化という流れをつくり出してきました。

 

4.原発推進という時代錯誤

安倍政権は原発推進に前のめりです。福島第一原発事故を経験した上で、いまだに原発安全神話にすがりつく神経は理解できませんが、安倍政権は原発再稼働を急いでいます。以前に糸島市で原発事故の避難訓練を見ましたが、机上の空論のようにしか思えない非現実的な訓練でした。アリバイ作りのような避難計画や安全対策で、再稼働を強行するのは許されません。住民の不安が解消されない中で、原発再稼働を強行すべきではありません。

また、安倍政権は原発輸出に熱心です。もし海外の日本製原発で事故が起きれば、税金で賠償することになる可能性は高いでしょう。原発技術を応用して核開発を進める国が出てくる可能性も否定できません。東芝が破産しかかったのは、経産省に背中を押されて米国の原発製造企業を買収して損失を出したためです。自然エネルギーの低価格化と効率化が進む中で、原子力発電は時代おくれになりつつあります。安倍政権の原発政策は、国民の生命よりも、電力会社の利益を優先するものです。

 

5.立憲主義の危機

立憲主義とは、政治権力が独裁化され、一部の人たちが恣意的に支配することを、憲法や法律によって抑制しようとする立場です。安倍政権のもとで共謀罪や憲法違反の安保法制が数の力で国会で成立しました。国家権力の暴走を抑える仕組みが少しずつ壊れてきました。自民党の憲法改正案を見ても個人の自由や権利を抑えつけようとする意図が見え、このまま安倍総理主導で憲法改正が進めば、立憲主義は危機に陥ります。

 

6.尊厳ある生活を危うくするアベノミクス

アベノミクスは格差の拡大を助長し、非正規雇用を増やし、子どもの貧困を放置してきました。先日の「ポスト・アベノミクスを考える」というブログで詳述したので繰り返しませんが、アベノミクスは貧困と格差の問題を深刻化し、尊厳ある生活への脅威となっています。

中曽根政権以来の「小さな政府」路線の新自由主義的な政策は、法人税や高額所得者の所得税を減税し、税収減を招いてきました。税収減が社会保障の抑制につながり、セーフティネットの弱体化が進みました。また、法人税や富裕層の減税が進む一方で、消費税のようなすべての国民が負担する税は増税されてきました。いわゆる「税の不平等化」が進んでいます。この30年ほどの自民党政権の政策の結果として、所得の再分配機能は低下する一方です。安倍政権は基本的のその流れを継承し、格差の拡大を助長してきました。格差拡大や子どもの貧困問題に冷淡な安倍政権は、尊厳ある生活を営む権利を侵害してきたといえます。

 

7.自国中心主義を推し進め、国際協調を阻害した罪

グローバル化が進む中で、その反作用として自国中心主義が世界中で蔓延しています。気候変動への国際的な取り組みに背を向け、イスラム教徒や移民を敵視するようなトランプ大統領の政策に対しては、国際的に批判が高まっています。アメリカ国内でもトランプ氏の自国中心主義への批判の声は大きいです。最近アメリカはユネスコからの脱退を決めましたが、それも国際協調に後ろ向きなトランプ外交を象徴しています。

そのトランプ大統領に忠実に追従しているのが、わが国の安倍晋三総理大臣です。北朝鮮危機にあたっても国際社会の多くの国々が、対話と圧力(経済制裁)のセットで北朝鮮を交渉のテーブルに引き出そうと努力しています。一方、安倍総理は、対話を拒否して、あくまで圧力一辺倒で行くことを国連総会の場で宣言しました。勇ましい外交ですが、交渉なしで問題が解決しないことを考えれば、空虚で危険な妄言です。トランプ大統領も子どものケンカのような言葉の応酬を続けており、外交センスのなさを世界に示しています。恐ろしいことに外交センスのないトランプ大統領が、世界最強の軍隊の最高指揮官であるというのが、いまの世界情勢です。

トランプ大統領と一緒になって自国中心主義的な流れを後押しする安倍政権は、国際社会の協調と安定への脅威となっている可能性があります。安倍政権を終わらせて、トランプ大統領に追従する外交を終わらせ、軍事的オプションよりも外交努力を優先する政権に代えなくてはいけません。
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他にも「安倍政権を終わらせるべき理由」はいくつもあげられますが、今日はここまで。衆議院選挙で安倍総理を退陣に追い込むべきですが、選挙情勢はそうなっていないようです。
安倍政治をなんとかストップするため、私も全力で戦いますので、応援よろしくお願いいたします。