「野党には人材がいないから政権を担えない」は本当か?

野党に対する不安や批判のなかでよくあるのは「野党に人材がいない」というものです。しかし、本当に立憲民主党などの野党に人材が全然いないのでしょうか?

自民党にも優秀な政治家はもちろんいます。現政権の主要閣僚でいえば、菅義偉官房長官や河野太郎外務大臣、茂木敏充経済再生担当大臣などは本当に頭が良くて優秀だと思います。政策的な方向性は異なりますが、能力が高いことは間違いありません。

私が当選1期目だった当時(2005~2009年)、茂木大臣は当選5期目、菅長官と河野大臣が当選4期目でした。永田町では、衆議院3期目までが「若手」で、衆議院4期目以降が「中堅」と呼ばれます。茂木大臣、菅長官、河野大臣はそのころは「中堅議員」でした。当時からお三方はきわめて有能でした。自民党の中堅議員のなかでも特別優秀な方々でした。

他方、現在の4~5期目の逢坂誠二政調会長や大串博志代議士、小川淳也代議士などの立憲民主党の中堅にも優秀な人はいます。逢坂さん、大串さん、小川さんは衆議院の予算委員会で活躍しているので、皆さんもニュースなどでご覧になったこともあると思います。

10年前の自民党の中堅議員の茂木敏充代議士、菅義偉代議士、河野太郎代議士と比べて、現在の立憲民主党の中堅議員の逢坂さん、大串さん、小川さんが劣っているという感じはしません。能力的にはいい勝負だと私は思います。

他方、安倍政権の閣僚を見渡せば、あまり優秀とは思えない大臣もいます。個人名をあげるのはやめておきますが、パソコンを使えないサイバーセキュリティ担当大臣ほか、何人かは大臣が務まらないレベルです。また、省内でどんな問題が起きても責任をとらない大臣もいます。

「自民党は人材豊富で、立憲民主党は人材がいない」ということはないと思います。自民党にも一定数は人材がいるし、わが党にも一定数の人材がいます。自民党の閣僚の中には、それほど優秀とは思えない方もいます。大臣の任に適さない人まで、派閥の力学で無理やり大臣にしているのが実情です。

そう考えると「野党には人材がいないから政権を担えない」という批判はあたらないと思います。いまの内閣にはそれほど優秀でもない大臣もいて、それよりマシな内閣であれば野党の既存の人材のベストメンバーで組閣できると思います。

いちばん問題になるのは野党連立政権ができた時に誰が首相になるのかという点ですが、枝野代表や岡田克也さんは十分有資格者だと思います。現党首の枝野代表が首相になるのがいちばん素直ですから、枝野さんが首相になって組織する内閣は十分に機能すると思います。

もし次の選挙で野党が躍進すれば、いま浪人している優秀な元議員や優秀な新人も当選して国会にやってくるでしょう。また、閣僚には民間人を任用することも可能なので、民間の優秀な人材を大臣にしてもよいでしょう。「野党には人材がいないから政権を担えない」というのは、誤った主張だと思います。