学校給食を無償に!

いま党内で参議院選挙に向けた公約の議論をしています。個人的に重点公約にしたいと思っているのは、小中学校の給食の無償化です。

原則として学校給食は、施設整備運営費は自治体が負担し、食材費は保護者の負担となっています(学校給食法11条)。しかし、学校給食の無償化で家庭の負担をなくしたいと思っています。

たとえば、フィンランドは学校給食は無償です。英国は小学校低学年を最近になって無償化しました。英国では保守党政権でさえ、小学校の給食を無償化するほど「大きな政府」路線だといえるかもしれません。

全国の公立小中学校の給食を無償にするのに必要な予算は約5,120億円です。

鴈咲子教授(跡見学園女子大学)の試算

小学校:保護者が払う給食費4,266円/月 × 648万人 =3,237億円

中学校:保護者が払う給食費4,882円/月 × 324万人 =1,883億円

したがって、小中学校の給食無償化に必要な予算:5,120億円

学校給食の無償化は、子どもの貧困が深刻化しているなか、子を持つ家庭の負担軽減に効果があります。家庭の給食費負担は、だいたい年間5~6万円です。子育て世帯の負担軽減と所得再分配に一定の効果が期待できます。

経済的理由で給食費の払えない家庭もあります。貧困家庭の子どもだけに対象を限定にした「就学援助」では、格差が可視化されやすく、子どもの心を傷つけることもあります。給食費を払えない家庭の子どもがいじめの対象になる例もあります。

したがって、すべての子ども対象にした学校給食の無償化が望ましいといえます。あえてむずかしい言葉でいえば、福祉における「選別主義」から「普遍主義」への転換の一例です。

全国平均では15.4%の小中学生が就学援助を受け、就学援助のなかで給食費を支援されています。大雑把にいえば、すでに小中学生の6人に1人はすでに給食費が無償になっているのと同じことです。給食無償化は、残りの6分の5の小中学生まで無償化を広げようというものです。

また、一部の地方自治体では給食費未納の督促も学校の先生の仕事になっています。給食費の未納件数が多くなると、給食費の集金が教員の大きな負担になってしまいます。教員の働き方改革が議論されていますが、教員の余計な仕事を減らすことは大切です。

文部科学省は食育の観点から給食実施を呼びかけています。従って、国が義務教育段階の給食無償化を実施する妥当性は十分あります。すでに公立小中学校の給食無償化を実施している市町村は全体の4.4%です。これを100%にすることは必要なことであり、「バラマキ」とは思いません。

義務教育の小中学校では、すでに授業料は無償です。小学校では児童ひとり当たりで約70万円の税金が投入されています。もし年に70万円の授業料を請求されたら、払えない家庭も多く、学校にいけない子どもが大勢出るでしょう。子どもが1人で70万円、2人で140万円となると、2人目や3人目の子どもをあきらめる家庭も増えることでしょう。授業料が無償でなかったら、少子化が一層進むと思います。小学校の授業料が無償なのは当たり前です。

今では小学校の教科書は無償です。しかし、以前から無償だったわけではありません。教科書を買えない家庭もあることが問題視され、「教科書を無償にしよう」という運動が広まり、国も必要性を認識して、教科書が無償になりました。国民の働きかけて教科書の無償化が実現しました。

義務教育の小学校と中学校の授業料と教科書が無料なのは今では当たり前です。次は給食費を無料にすべきだと思います。給食無料がこれからの当たり前にしなくてはいけないと思います。

小中学校の給食無償化にあえて問題があるとすれば、財源をどうするかという議論です。下げ過ぎた法人税率をもとに戻すとか、金融課税を強化するとか、租税特別措置の不要なものをカットするとか、いろんな手があります。一般会計予算が100兆円を超える時代に0.5兆円の捻出が不可能だとは思いません。政治的意志の問題です。何を重要だと考えるか、という価値観の問題です。小中学校の給食を無償化をぜひ実現したいと思います。