ドイツの政党系財団との意見交換

ドイツの主要政党は、必ず政党系財団(政治財団・シンクタンク)をもっています。政党系財団には、連邦政府から多額の補助金が入り、調査研究、政策提言、政策対話、国際交流、国際協力、国内外の留学生への支援など、多様な活動を行っています。

そのひとつに自由民主党(FDP)系列のフリードリヒ・ナウマン財団があります。1958年に自由主義者のフリードリヒ・ナウマンの「市民の学校」の理念を継承し、民主主義を学ぶ場として創設されました。2018年度予算は約88億円ですが、そのうち約76億円が連邦政府の補助金です。

ドイツではキリスト教民主同盟と社会民主党という2つの大政党があり、自由民主党は3番手か4番手の中規模の政党です。その自由民主党の系列財団への補助金が76億円というのには驚きます。政党本体への補助金ではなく、政党財団への補助金がその金額です。立憲民主党が受け取っている政党助成金の2倍以上です。

政党系財団は機能的に「政党シンクタンク」といってもよいと思います。政党シンクタンクにそれだけの多額の税金を投入するドイツの連邦政府と納税者は立派だと思います。立憲民主党のシンクタンクをつくるのが私の夢なのでうらやましいです。

フリードリヒ・ナウマン財団は世界35か所に在外事務所を開設しています。韓国のソウルにも事務所があり、北朝鮮と韓国を所掌しているそうです。同財団は日本には事務所を置いていないので、韓国の事務所が日本をカバーしているようです。そのフリードリヒ・ナウマン財団のソウル事務所の方から、立憲民主党の政策や日本の政治経済の状況について聞きたいとの申し出がありました。

立憲民主党には国際局という部署があり、外国の政党や各国大使館との窓口になっています。私は国際局とは関係ないのですが、たまたま国際局長が所用でスケジュールの都合が合わなかったので、私が代理で同財団の方とお会いすることになりました。お会いしたのは、歴史学の博士号を持っているような知的な方でした。

ドイツはもともと東西ドイツに分かれた分断国家だったので、南北朝鮮の分断への関心が強く、フリードリヒ・ナウマン財団も北朝鮮との交流に力を入れているそうでした。ドイツ人が南北朝鮮分断に関心を持っているというのは、新鮮な驚きでした。旧西ドイツと東ドイツのように比較的問題の少ない統合が実現できれば、朝鮮半島の人たちにとっても日本にとっても良いことです。

その他、中国の影響力の増大、日本とドイツの関係、日本経済の行方、日本の政局など、いろんな意見交換をして会談を終えました。久しぶりに通訳なしの意見交換でけっこうしんどかったですが、相手も英語のネイティブスピーカーではなかったので、それだけが唯一の救いでした。ドイツ語なまりの英語でホッとしました。

国際援助業界や教育関係の専門用語であればそれなりに対応できるのですが、政治に関する英語の専門用語には自信がなく、「小選挙区制って、英語で何て言うんだっけ?」みたいな微妙な間ができてしまい、ときどき気まずい沈黙が流れました。あらためて英語の勉強をしなくては、という危機感を覚えた会談でした。