国政レポート51号:人口減少と子どもの貧困

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福岡3区内の駅頭で配布したり、ポスティングをしている国政レポートの第51号です。受け取ったことのない方はお読みいただければ幸いです。

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人口減少と子どもの貧困

深刻な子どもの貧困問題に対応するため、全国で子ども食堂などの取り組みが進んでいます。日本の子どもの7人に1人(約280万人)が貧困状態にあります。食べられるのに捨てられる食品(食品ロス)が年間600万トンにのぼる一方で、お腹いっぱい食べられない子どもたちがたくさんいます。子どもの貧困により教育を受ける機会を奪われた子どもは、大人になってから安定した仕事に就くのが難しく、貧困に陥りやすい傾向があります。放っておけば、親から子へと世代を超えた貧困の連鎖が続いてしまいます。

昨年も出生数と合計特殊出生率がともに下がりました。4年前の総選挙で安倍前総理は「国難突破解散」と称して「少子高齢化」と「北朝鮮の脅威」の2つを「国難」と表現しました。しかし、4年たっても少子化対策の効果はまったく上がっていません。安倍・菅政治は最後まで実効性のある少子化対策を打ち出すことができませんでした。

 

少子化対策 = 子どもの貧困対策

子どもの貧困対策は、①教育や子育てに関わる家計の経済的負担の軽減、②保育サービス等の現物給付、③子ども手当等の現金給付があります。OECDのデータによると子どもの貧困を減らす効果は、現金給付よりも現物給付(保育サービス等)の方が大きいことがわかっています。

少子化の原因のひとつは、平均の「理想の子どもの数」と夫婦の実際の平均出生児数のギャップにあります。「本当は3人目の子どもが欲しいけれど、教育費がかかるので3人目はあきらめている」といったご夫婦が多いことが背景にあります。教育や子育てにかかる経済的負担を軽減したり、仕事を子育てを両立しやすい環境を整備して夫婦の収入を増やしたりといった政策で出生率を回復させることができます。

以上のように子どもの貧困対策と少子化対策は共通する政策が多いです。すべての子育て世帯を対象とした少子化対策に力を入れれば、結果的に子どもの貧困の解消にもつながります。

 

少子化対策・子どもの貧困対策のめざすべき方向性

少子化対策といっても政府が国民に「皆さん 子どもをドンドン産みましょう」と呼びかけるような政策は許されません。政府にできることは、子どもが欲しい人たちが子どもを産み育てやすい環境を整備することです。特に家庭の教育費の負担軽減が重要です。人生のスタートラインの子ども時代の教育機会の不平等はすぐにでも解消すべきです。日本はOECD加盟国でもっとも公教育支出が少ない国です。政府が教育費をケチった分だけ、家庭の教育費の負担が重くなっています。少子化対策と子どもの貧困対策の観点からも、国の教育予算を大幅に増額すべきです。

 

1.小中学校の学校給食の無償化

日本は子育て世帯への公的助成が少ないのですが、小中学校の学校給食の無償化は子育て世帯への支援として有効です。学校給食の無償化をすでに実施している市町村は全体の4.4%です。これを100%に引き上げる政策は、子育て支援策や子どもの貧困対策として有効です。

 

2.仕事と子育ての両立支援(保育サービス等)の充実

保育サービスの充実によって仕事と子育てを両立しやすい環境を整備することは、出生率の引き上げと子どもの貧困削減に効果があります。日本はひとり親世帯(特に母子家庭)の貧困率が高く、ひとり親世帯の約半数が子どもの貧困状態です。質の高い保育サービスや就労支援の充実が、子どもの貧困の解消に役立ちます。多様で柔軟な保育サービスを提供するとともに、非正規雇用の女性のための就労支援や職業訓練を充実することが重要です。

 

3.公教育の質の向上

公教育の質の向上が、教育格差の解消に役立ちます。学力の高いことで有名なフィンランドには学習塾のようなものはありません。学校外の教育機関(学習塾や予備校等)に頼らなくても、高い学力が身につく公教育をめざします。学校現場で非正規雇用の教員が増えています。退職教員の再雇用等の例外を除いて、原則として教員は正規化すべきです。教員が教えることに集中できるように、教員をサポートする事務職員を増やしたり、スクール・ソーシャルワーカーを増員したりして、公教育の質を上げることが教育格差の是正につながります。

 

4.高等教育(大学や専門学校)の授業料の引き下げ

過去30年ほどで国立大学も私立大学も授業料が大幅に上がりました。一方、実質賃金のピークは1997年で、親の平均所得は上がっていません。授業料が上がったため、親の所得格差が子どもの教育格差につながっています。国立大学の授業料はせめて半分にすべきです。また私立大学への公的助成を増やし、私立大学の授業料負担も同様に大幅に軽減すべきです。

 

5.下宿生のための住宅手当(家賃補助)

親元を離れて大学や専門学校などに通う学生の下宿代も家計の大きな負担です。地方では大学や専門学校が少なく、やむを得ず下宿する学生も多いででしょう。教育格差解消の観点から、地方の若者が不利にならないように、下宿生向けの住宅手当(家賃補助)も導入すべきです。

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