通常国会の前半をふり返る:安倍政権の終わりの始まり

駅頭などで配布している国政レポートの次号の原稿です。
福岡3区内の駅を利用していない方、ぜひご一読をお願いいたします。


通常国会の前半をふり返る:安倍政権の終わりの始まり

1.裁量労働制データのねつ造問題

1月22日に始まった通常国会は、3月28日に予算案が成立し、前半戦が終わりました。前半戦の第一のヤマ場は、「裁量労働制」のデータねつ造問題でした。裁量労働制とは、実労働時間ではなく、「みなし時間」によって労働時間の計算を行うものです。一般的に企業側(雇用者)は、みなし時間を少なめに見積もり、人件費を抑えようとします。さらに裁量労働制は、長時間労働につながりがちです。裁量労働制は過労死の原因になりやすいと言われています。

安倍政権は、経済界の要望に沿って裁量労働制の拡大をめざしています。政府は、裁量労働制を広げるために厚生労働省の調査データをねつ造し、あたかも裁量労働制の方が通常の働き方よりも平均労働時間が短いかのように国会で答弁してきました。その点を立憲民主党を中心に野党6党で協力して追及しました。結果的に調査データの誤りを政府に認めさせ、安倍総理を謝罪に追い込みました。調査データのねつ造が明らかになり、働き方改革法案から裁量労働制の部分を削ることになりました。安倍総理は「働き方改革国会」と称し、働き方改革法案を重視していますが、さっそく国会審議でつまずくことになりました。また、裁量労働制データの問題は、野党議員を中心に立法府(国会)が行政府の誤りを是正させた良い例だと思います。野党が正当な政策論争で政権を追い詰めた好例でもあります。

 

2.森友文書改ざん問題

今国会の第二のヤマ場は、森友文書改ざん問題でした。朝日新聞のスクープ報道をきっかけに野党が国会で追及し、森友学園にかかわる決裁文書を財務省が組織的に改ざんしていたことが明らかになりました。役所が国会に提出した文書が改ざんされ、役人が国会でウソの答弁を1年以上も繰り返してきたわけです。国会軽視のきわみです。国会の議論でウソが許されるようでは、議会制民主主義は成り立ちません。民主主義の危機です。麻生財務大臣ひとりが辞職して済むような問題ではなく、内閣総辞職に値するような深刻な問題です。

国家公務員が決裁文書を改ざんするというのはよほどのことです。刑法の「虚偽公文書作成罪」という罪に問われます。それだけのリスクをおかすには、よほど「大きな力」が働いたとしか思えません。佐川国税庁長官を辞職に追い込むほどの「大きな力」がどこから来たのかは、だれが見ても明らかだと思います。安倍一強のもとで「忖度(そんたく)」政治があたり前になり、異常な事態が起きたのだと思います。

 

3.国会における野党共闘の深化

裁量労働制データねつ造問題でも森友文書改ざん問題でも、野党6党が国会で協力して政府を追及してきました。野党6党でこれらの問題についての合同ヒアリングをほぼ毎日開いて事実を解明するとともに、野党6党の国対委員長会談や幹事長会談を何度も開き、野党6党で一致団結して政府与党と対峙してきました。野党共闘の結果、ここまで安倍政権を追い詰めることができました。

私は国会対策委員長代理というポストについている関係で、野党合同ヒアリングを企画したり、野党合同院内集会の司会進行をしたりと、国会内の野党共闘を実務面で支えてきました。安倍一強を打破し、新しい政治の流れをつくっていくためには、国会の外でも野党共闘が不可欠です。安倍政権はそう長くは続かないと思います。今秋の自民党総裁選の前になるのか、総裁選の時になるのかわかりませんが、次の自民党総裁が次の首相に就任することでしょう。新しい首相が誕生すれば、選挙の洗礼を受けていない首相の正統性は低いため、「解散総選挙で信を問うべき」という声が出てきます。安倍総理が辞めれば衆院選が近づきます。国会での野党共闘をきっかけに、衆院選に向けた野党連携の動きを加速させなくてはいけません。