「野党は批判ばかり」批判への批判

しばしば一部メディアから野党に投げかけられる批判に「野党は批判ばかり」という批判があります。新型コロナウイルス危機のような状況下で政府を批判すると、「野党は批判ばかり」批判を浴びます。以前にも「『野党は批判ばかり』という批判」というブログを書いたことがあります。

*ご参考:2016年9月22日付ブログ「野党は批判ばかり」という批判

「野党は批判ばかり」という批判
マスコミや自民党が「野党は批判ばかり」と批判します。確かにそういう時もありますが、誤解に基づく場合も多いです。大雑把にいうと、「野党は批判ばかり」という批判は、9割がた無視してよいと思います(1割程度は真理があることもあります)。 ...

しかし、今回の給付金の1世帯当たり30万円から一律10万円への変更をめぐる政府与党のドタバタ劇などを見ていると、野党の批判にも意味があることが明確になったと思います。

たとえば、政府の自粛要請に基づいて休業を余儀なくされた事業者などに対して、当初は「補償はできない」と安倍総理はかたくなな姿勢をとっていました。しかし、ネットなどの世論で「自粛と補償はセット」という声が広がると、一転して給付を行う方針に転換しました。

「自粛と補償はセット」という批判の声が広がった背景には、おそらく枝野代表のぶら下がり取材で「自粛と補償はセット」と発言して、その発言が報道されたこともきっかけのひとつだと思います。枝野さんはかなり早い時期からそう主張していました。その主張がネットなどで広がったのだと思います。

さらに公明党と二階幹事長に突き上げられて、当初予定していた「減収世帯に30万円給付」という方針が、「すべての人に一律10万円給付」に変わりました。確かに公明党も一律10万円という主張をしていましたが、われわれ立憲民主党も一律10万円給付を早い時期から提案していました。一律10万円という世論の流れを作る上で、われわれ野党の提案もメディアを通じて一定程度の役割を果たしたと思います。

そういう意味では今回のコロナ危機に関わる補正予算審議に対し、野党の批判と世論の批判、さらに連立与党内の批判と相まって、相乗効果を発揮したと思います。野党の批判だけで政府方針を撤回させたとまでは言いませんが、野党と世論の圧力がうまく作用して、政府方針の撤回へという流れができたと思います。

一部の右派メディアの「野党は批判ばかり」という批判にめげず、行政監視機能を果たすことは重要です。「野党は批判ばかり」という批判記事を見たら、サラッと無視していただいて結構です。戦時中の大政翼賛会のような政党ばかりになったら、危機に脆弱な政治体制になってしまいます。